第78話 シングルマザー

「龍馬ーー、凜花ーー、起きてーーーー!!」

毎朝、なかなか起きてこない二人に何度も何度も声をかける。

あれほど昨夜も早く寝なさいと言ってるのに、漫画を読みたいだとか、雑誌が見たいだとか・・・。

一人前の大人みたいなことをいって遅くまで起きてるから朝が起きれない。

何度注意してもだめだ。


凜花なんて、ママよりも先に寝たらえらい?なんて言ってたのに、今じゃ、誰よりも早く私が寝てしまう。

そう思ったら、彩斗くんママなんて、5人もお子さんがいるんだもん、大変だろうな・・・。

そう思いながらも起きない二人に、最後の声かけをしながら掛け布団をひっくり返す。


龍馬が急いで起きてきた。

食べ盛りの男の子は食が優先。

可愛い盛りの凜花は、髪をくしで慣れない手つきながらときだした。

女の子は何歳でも女の子なんだなと思う。

お化粧もしたいなんていうんだから、最近は本当に困ったことが多い。


早くしたくさせないと、私の仕事が間に合わない。

事務職で、正社員として働いているが、きちんと平日の休みももらえて、土日や祝日は休みだ。

だからこそ、長く勤めていられるのかもしれない。

誰かに助けてほしいときもあるけれど、なんとかここまでやってこれている。

子供たちには寂しい思いもさせているかもしれないけれど、実家の両親も手伝ってくれるから、子供たちも豊かに育ったほうだと思う。


三人とも同じ時間に出かけるから、みんなで行ってきますになるけれど、帰ってくるのはわたしが最後。

そして、子供たちを実家に迎えに行く。

毎日がバタバタだけど、楽しい。

それなりの苦労もあるけれど楽しい。


龍馬は友達と遊ぶ時だけ、実家の母に鍵を開けてもらい、先に家に帰っている。

凜花はおじいちゃんにべったりだ。

先日、龍馬がいつも遊んでいるお友達のママさんが家にきてくれた。

あの5人のママさんだ。

あの人は本当にすごいなと思うのは、5人産んで育てる、そして、妻としてもきちんとされていることがすごいなと思った。



ただ、あの瞬間までは・・・。




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