第73話 あるあるなママ友

潤にそこそこ安心感を与えなければ、生活が破綻する。

そのためには大輔さんとのことは絶対に子供たちにもバレないほうがいい。

夏休みの間に、彩斗がほとんど毎日遊びに行っているお家のママさんと初めて話した。


彩斗がいつもお邪魔しているのが気になっていて、ジュースを何本か手土産にして、向かった。


歩いて10分ほどのマンションの一室だった。

ご挨拶に来ましたというと、とてもにこやかに迎えてくれて、彩斗もいるとのことでお部屋にお邪魔した。

持ってきたジュースを渡すと、重たいのにわざわざありがとうと、そのジュースをあけて、氷を入れて出してくれた。



話してみるととてもいいママさんだった。

彩斗と同い年の子供と、その一つ下に女の子がいると聞いた。

女の子は遊びに出かけている。

龍馬くんと凜花ちゃんとママさん、三人だと。

シングルマザーで、働きながら子育てをしていると聞き、自分も離婚の経験があることだけ伝え、再婚して、現在は夫がいることも伝えた。


離婚すると、大変だけど、してしまえば、落ち着けば、らくなもんだという意見が一致してしまった。

意気投合し、こんどカフェに行こうと約束した。


ママ友というのは小学校、中学校の延長だと思っている。

たまたま同じ年に子供を産み、子供を通じて知り合ったのだから、ただただ共通点はそこだけだ。

あまり、余計なことは言わないようにしようと思った。

でも、こういうのもいいなと思った。

彩斗と久しぶりに二人で歩いて家に帰って、裕彩をお迎えに行った。


彩斗がそれが嬉しかったのか、その話を寝るまで潤に話していた。

潤は同じ話でも何度も、リアクションをしてくれている。

少し安心してくれたのか、私の話も聞いてくれた。


寝静まるのを待って、一人で、携帯を布団に忍び込ませる日課までの時間、いい夫婦の時間、というものを過ごした。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る