第72話 厳しい言葉
ハッとした。
そうだった、子供たちには自分たちでお昼ご飯をさせるためにほとんど手を加えなくていいものにしようと、レトルトのカレーを買い込んでいたのだ。
毎日と言っていいほどレトルトを食べさせていた。
ただ、作らないことがないわけでもない。
「子供たちの食事だけはきちんとしてやりたいって、ずっと言ってたよね?レトルトに頼るなとは言わないけどさ、こんな量みたらさ・・・俺がいない間、何やってるの?」
潤にそういわれて、私は返す言葉を考えている。
なんのせいにしようか、誰のせいにしようか・・・。
ただ、毎日三度三度食事を作るのは本当に大変だし、家も散らかり放題だし、どんなに子供たちが手伝ってくれても、やっぱり限界もあると話した。
「で?」
と、一言返された。
耳を疑ったけれど、潤はわりと本気の表情だった。
張りつめていた空気を変えてくれたのは、彩南だった。
彩南が、レトルトのカレーについているシールを彩幸と集めていると。
いらないのを彩斗は愛彩にあげていると。
それでも、レトルトの物ばかり食べるのではなくて、野菜や魚も食べないとって言う話になり、彩南のおかげで話題が変わり、その場を乗り切った。
私のゲームはいかにバレずして、夫以外の男性と遊んだりして、家庭でもうまくいかせるか、だから、潤に勘づかれてしまっては、ゲームオーバーだ。
だから彩南が話題を変えてくれたのがとてもホッとした。
夏休みが終わったら、もう自由になれると思い、その時を待とうと思った。
それまでは携帯に暗証番号をかけて、見られないようにして、やりとりは消すようにしていた。
静かに静かに私は間違っていく・・・。
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