第55話 違った感
妊娠4か月を過ぎ、5か月目に入った時だった。
「さやか、太った?」
潤から聞かれた。
私は意を決して話そうと覚悟を決めた。
隠していたわけではないという言い訳を付け足して・・・。
潤はとても喜んでくれた。
今お腹にいる子供はとても愛される子なのだろう。
そして、もちろんのように結婚の話が出てきた。
どうしても、結婚に踏み切れない気持ちを話した。
潤はただ、
「子供たち、これから生まれてくる子供も含めて父親が必要だと思う」
と言われた。
実際、4人の子供たちとは良好な関係ではあるけれど・・・。
結婚・・・そこにおさまりたくないというのが一番近い表現なのだが、潤に押されてしぶしぶといった形で再婚した。
再婚することを、実家の母、元夫に伝えた。
元夫はおめでとうと、言ってくれた。
彩南、彩幸、彩斗の養育費は今まで通りちゃんとするから、頑張れよと言われた。
実家の母は、今度こそはと言ってくれた。
そう、今度こそは傷つけてはならない。
潤はこの何年か、子供たちのことを一番に、そして、私のことも一番に考えてくれてきている。
だからこそ、今度こそ・・・なのだろうけど・・・。
入籍した日に外食に行こうとしたけれど、好き嫌いの激しい子供たちのことだから、やっぱり家で食べようという話になり、潤が腕を振るってくれた。
私も一緒にキッチンに立ち、パーティーの準備をした。
子供たちが学校から帰ってきた。
彩斗と、愛彩を保育園に迎えに行って、一息ついたころに、夕飯をテーブルいっぱいに並べた。
彩幸が、誰の誕生日?と聞くほど豪華に見えるように作ってあったのは潤のセンスだ。
いただきますと同時に、赤ちゃんがお腹にきてくれたことを、報告した。
そして、潤がパパになることを話した。
元夫もパパ、今日からのこの家のパパは潤、というふうに説明して、ゆっくりと話した。
子供たちは、元気に返事をしてくれたが、彩斗と愛彩の曇った顔が忘れられない。
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