第54話 軽く見ない

体調不良が続いても、年齢のせいにしては、潤が勘ぐらないようにしていた。


彩南は気づいたようで、潤がいない時に、

「ママ、赤ちゃんいるでしょ?」

と言ってきた。

大体の行動パターンが分かると言うのだ。

子供は親をよく見ている。

とくに、彩南は、長女で色んなことを見ているし、聞いている。


検査薬をしてから、2週間ほどして、婦人科に行った。

予定日を聞いて、私だけの秘密の手帳に、潤との日、春樹との日を暗号化して書いていたから、大体でわかるから遡ってみたら。


潤の子だ。

潤との子だ。

春樹が県外出張だと言って、1ヶ月半くらい会っていなかった時だった。

潤との子ができた。


話すけれど、結婚の話になると、ちょっと困る。

愛彩の時とは違う。

私は1人でもいいから自由でいたいと思うようになっている。

潤が嫌いな訳でもない。

春樹と会えなくなるとか、そういうことでも無い。

自由でないことにストレスを感じるのだ。


生命を軽く見ている訳では無い。

この子もお腹に来てくれたんだから、絶対産むと決めている。

そこに、結婚が、くっついてくることが、私には耐え難い。


でも、潤にも子供たちにも話さないといけない。



お腹が目立つまでに、自分の中で整理をつけて話そうと決めた。





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