第53話 繰り返す
春夏秋冬、衣服を用意してやらなければという理由で、元夫がボーナスを貰うタイミングで少し多めに養育費が振り込まれる。
そのお金は子供たちに使う。
最近、潤がそこに口出しをするようになってきた。
私の分は潤が買ってくれるけれど、子供たちの分は潤に出させたことがない。
たまには潤も買ってやりたいと言うのだ。
へたに買ってもらうと、元夫の耳にどう入るかも気になっていたから、阻止していた。
それでも、愛彩の靴は私も可愛いと思ったのもあり、潤が、買ってくれた。
元夫は、愛彩が自分の子であることは受け止めているけれど、どこか愛せなくて…と言っていたが、段々自分に似てきたからか、愛彩のことも気にかけてくれるようになった。
嬉しいけれど、私の中で、元夫がどんなに今さら愛彩のことを可愛いと言おうがあの時、私が1人で愛彩を産み、信じて貰えないのは私の行動が原因だけど、実の父親に愛して貰えなかった愛彩のことを思うと、理不尽に思う。
潤は最近、愛彩が、
「パパ」
と呼ぶことに嬉しさを感じていると言う。
良くない、良くないけど、パパじゃないけと、この環境だとそうなるかと、妙に納得してしまった。
再婚かぁ…と考えだすこともあった。
潤は結婚したがっている。
今の生活で、違いがあるのは、入籍しているかしていないかだけだ、というのだ。
そうなると…春樹とももっと会えなくなる。
自由を、手にするかわりに子供たちに不自由を与えることもあった。
再婚に踏み切る、それが、なかなか出来なかった。
愛彩と彩斗が、2人してお腹を壊して保育園を休んだ日は私は1日イライラしていた。胃腸風邪が保育園で流行っていると言われた。
自由な時間なのに…。
平日の昼間は唯一息抜きの時間だったからちょっと疲れていた。
愛彩と愛斗が、回復して保育園に預ける頃、私が今度は感染し、寝込んだ。
潤は看病もしてくれた。
彩南と彩幸は元夫の家から学校に通い、家には彩斗と愛彩と私と潤がいる。
寝込むと上のお姉ちゃん2人を元夫に預けるようになった。
いつもなら、2、3日で回復するのに、どうもスッキリしない。
まさかだけど…
検査薬をしてみた。
陽性、5人目だ。
愛彩が2歳を過ぎた頃に発覚した。
正直、潤の子か春樹の子かわからない。
予定日を聞いて判断することにして妊娠はしばらく黙っておくことにした。
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