第52話 優しさの魔物
私には彼氏がいる。
でも・・・。
刺激のない毎日が退屈になっていき、段々気持ちに変化が出てくる。
春樹と結ばれた。
妙な優しさを感じ、私は全てを春樹に委ねるようになっていた。
潤に見つからないように春樹に合わせる生活。
刺激的なその瞬間を待ち望んで、そのためには息を吐くように嘘をつくようになっていた。
子供たちは気づいているような気づいてないような、元夫が本当の父親であることで、お泊りに行ったり、潤が家にいても仲良く良好な家庭ではあった。
ただ、潤とは結婚をしていない。
だからこそ、自由だと思った。
でも、潤には責任がないから、潤も自由だ。
そんななか、奇跡的にも仲良く続けられているのだから不思議だ。
子供たちもほどほどになついてる。
そんな平凡な毎日が飽き飽きしていたのかもしれない。
本当はそれが一番幸せなはずなのに・・・。
春樹と会うときは潤に見つからないように着替えをカバンに入れて、車の中できがえていた。
そして、香水はつけないようにしていた。
週に一回会うか会わないかくらいから、週に二回に増えたりしてきた。
そのうち春樹が中心となって生活をするようになってきた。
潤に気づかれないようにと思って注意していたが一度バレかけたことがある。
たまたま家の近くで着替えることを忘れていて、急いで着替えるため、コンビニの駐車場で車をとめ、車の中で慌てて着替えていた時に、帰り道だった潤と鉢合わせした。
その時の言い訳は、お迎えに行こうとしたら、パジャマだったから羽織りものだけ持って出てきちゃったといって、なんとか着替えていたということを隠すことができた。
嘘をつくということは簡単だが、その嘘をつきとおすことは本当に難しい。
必ずどこかでボロが出てくる。
それでも、潤と春樹の間に自分がいて、それがまた優越感でもあった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます