第48話 沼の始まり

次第に自分の心の中の「女」が強くなっていくことを気づかないままそれがまた正常であるかのように過ごすようになっていった。


潤は相変わらず、私たち親子のことをすごく大切にしてくれていた。

私はそれに甘え、潤に頼り切っている部分もあった。

それでそのまま仲良く過ごせたら一番いいと思っていた。

子供たちもなついているし、潤と子供たちとの間柄もとてもいいものだった。

その平和に飽き飽きしてしまっていたのは、贅沢な話だった。


春樹と会ったのは理恵ちゃんと理恵ちゃんの彼氏とのランチから会ってなかったこともあって、何年かあいている。

でも、お互い顔も覚えているし、私はと言えば・・・彩斗を産んだ後に、少し痩せにくかったことから、前よりも少しふっくらしている。

それでもすぐに春樹が気づいてくれて、一日デートを楽しんだ。

潤と一緒にいるときは安心するけれど、春樹と一緒にいると、ドキドキする。

ドキドキしたり、照れたり・・・

恋愛体質であろう私にはぴったりだった。


食事のあと、カフェに入ってたくさん話した。

潤のことは話さず、子供たちのことを聞かれ、たくさん話した。

楽しい時間はあっという間だった。

次も会えるのかなと思っていたら、

「次会うときはおチビちゃんたちも連れてきてよ」

春樹に言われたが、もう少しお互いを知ってからにしようと提案し、必ず次も会おうと約束して、私は彩斗のお迎えに行った。


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