第46話 つつましやか

子供たち中心に生きると決めていたのに。

子供たちが少しでも幸せに思ってくれるようにと、思っていたのに。

思えば思うほど空回りする。


気が付けば、4人の子供のママになっている。

目の前のことだけが精いっぱいの生活だったけど、それすらまともにこなすことができなくなってきていた。


彩南が小学校三年生、彩幸が小学校一年生。

彩斗はその翌年が小学生。

愛彩はまだ保育園に通っているが、自分のことも自分でできるようになってきた。


潤とは毎日連絡をとりあい、家に招いては子供たちに、

「ママのお友達」としょうかいしていた。

それがだんだん、潤はしごとを終えると、我が家に帰ってくるようになり、同棲生活となっていた。

生活費も協力してくれる。

もちろん、男女の仲にはなっていた。

でも、子供たちもいるし、今は将来のことは子供たちのことだけ考えていた。


育児もほとんど潤が手伝ってくれる。

そして、元夫からの養育費も入る。

国からの支援もある。

頑張って10年ほど働いた職場を長期休暇という形で、退職するかどうか迷っていた。

生活はいまのままでも成り立つ、欲を言わなければ普通に生活はしていける。

働いている状態だと、子供たちと接する時間も短くなってしまう。

長期休暇の間に答えを出そう、そう思っていた。


潤は本当に優しくて、愛彩は、

「パパちゃん」と呼ぶほどだった。

まだ再婚は考えられないけど、この生活が続くなら…と思うこともあった。

ただ、子供たちと私だけになった時は本当に憂鬱で立ち上がるのも、起き上がるのもいやなほどになっていた。



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