第45話 今日のミッション

保育園からバスが出てないのか、小学校はその後も預けてくれる児童クラブがないか・・・。

段々、子供たちとの距離ができてきたのは無意識だった。

子供たちのことを一番に考えてるつもりだったし、子供たちにとって一番いい環境であることを願っていたし、できるだけいい環境をと思ってやってきた。


そのストレスは感じることはなかった。

それでも無意識レベルでどんどんとストレスはたまっていった。

育児は決して簡単なものではない。

それもわかっているし、望んで産んだ子供たち。

それでも疲れてくると、元夫に預けたりすることもあったし、実家の母に預けることもあった。


最近では子供たちが、みんな愛彩の面倒をお姉ちゃんだよ、お兄ちゃんだよって見てくれるからとてもありがたい。

母乳以外は全部任せても大丈夫なほどだ。


ただ、心配なのは彩幸だ。

彩南がお姉ちゃんぶりを発揮し、彩斗がお兄ちゃんぶりを小さいながらも発揮し、自分の居場所がわからなくなっているような感覚を受けた。彩幸は私によく似ているから、何かしないか心配だった。

気を引きたくていろんないたずらを仕掛けてくるのだ。


それさえなければなんともないのだが、とにかくこの四人の子供たちの中で群を抜いておてんば娘なのだ。


彩南が晩御飯の準備をしているとき、些細なことで彩幸と喧嘩をした。

彩斗は止めに入ったのだが、返り討ちにあったようで、半べそ状態だった。

せっかく機嫌のよかった愛彩が、すごい勢いで泣き始めた。

彩斗の鳴き声も段々大きくなっていく。



・・・何かがぷつんと途切れたような感覚があった。


それからは無我夢中で喧嘩をとめて泣き止まない子供たちを見て、愛彩も含めて一つの部屋に入らせて閉じ込めた。

そして、キッチンに立った。



晩御飯の準備の続きをしようとしたら、腕にたくさんのひっかき傷がある。

彩南や彩幸の手指であろう爪のあと・・・。


そう、これが初めての子供たちへの暴力のようなものだった。

冷静になり、水を一気に飲み干し、落ち着かせた。

喧嘩をしていた彩南と彩幸を思い切り突き飛ばし、

「やめろっていってるでしょ?何が原因でけんかばかりするの!!」

と怒鳴り散らし、

「彩斗は男の子でしょ?いつまで泣いてるの?」

と、にらみつけ、

「愛彩、もういい加減になきやんでくれないかな?!」

と抱き上げ、四人を別の部屋に少し乱暴に連れて行き、閉じ込めた。

しばらくは泣き声だけだったのが、

「ごめんなさい、ママ、ごめんなさい」

という声が扉越しに聞こえてきた。


落ち着いたけれど、どうしたら自分も子供ともっとせっすることができるのだろうと立ち尽くしたまま扉を見つめた。


結局、晩御飯やお風呂や、そういったことがほぼできないまま、その日を終えてしまった。

やることはたくさんあるのに、何もできないまま時間だけが過ぎ、私は流れるままに時間を無駄にしてしまった。






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