第42話 何度も味わう

そろそろかな?と思ったころ、お腹と腰に鈍痛があった。

臨月に入り、仕事は休ませてもらっている。

休みとは言えども子供たちのことや、はじけんばかりに大きくなってくれているおなかの赤ちゃんのことなどで、なかなか動きづらかったり、その日その日によって、体調が良かったり悪かったり。

ただ、4人目ともなれば、だいたいの流れは掴める。

大切な命を、この世に生まれさせるんだから毎回何かしら違った感覚だったり、痛みがある。

その痛みを超えたら、何物にもかえがたい、大きな大きな幸せが待っている。


陣痛がきだした。

入院するためにまとめていた荷物を持って、タクシーで病院に向かう。

今までは元夫がいてくれたからな・・・と思いながら、一人で向かった。

子供たちは彩南と彩幸は元夫が、彩斗は実家の母が見てくれることになった。

何日か前からお泊りに行きだしたので、今から病院に行くことを元夫、実家の母に連絡した。

さぁ、頑張るぞ。


痛みはいつもながら痛いし、呼吸もちゃんとできてるかどうかもわからないくらいパニックになるけど、無事に生まれてきてくれた。

お腹にきてくれてからこれまでの辛かったことや悲しかったことが吹っ飛んだ。

大きな産声だった。

女の子だ、可愛くて、とても指が長いところは元夫にそっくりだった。


落ち着いてから、名前を考えた。

「愛彩」

と書いて、あいちゃん。

絶対にたくさんの人に愛されて会いに彩られた人生になりますように。

戸籍上父親がいないという状態で産んでいるからこそ、より強く願って名付けた。

入院中はしっかり体を休めて、愛彩と一緒に家に帰った。


子供たちはもうしばらくそれぞれにお泊りをしてくることになっていたのに、家に帰ったら、飾り付けがしてあり、愛彩ちゃんおめでとう、ママおかえりと画用紙に書いてあり、そこにも飾りがついていて、ポスターみたいに大きく貼ってあった。

知らなかったから、子供たちなりのサプライズだったようで、嬉しくて泣いてしまった。

子供たちは無条件で私を愛し、私を必要としてくれていて、また、愛彩のことも無条件に愛してくれている。


大切にしていかなければと、心に深く刻んだ。


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