第35話 紙の上でも離れた日
原因は二年以上前の私の過ちだ。
三人目の子供を身ごもった。
それが、浮気相手の子供だった。
でも、産む以外の選択肢を選ぶことができず、夫は全てを受け入れることにしてくれた。
でも、それは安易なことではなく、そうとうな葛藤があったと思う。
彩幸がまだ赤ちゃんの状態で、三人目・・・。
きっと子供たちのことも考えて、私には計り知れないくらいのショックと、苦しみがあったはずだ。
そんなことをした自分を悔いていたし反省もしていたし、家族のために生きていこうと思っていた。
そうして、日々の中で自然とできた新しい命。
新しい家族がお腹に宿った時、過去のことをすべて思い出し、その時と同じ気持ちになり毎日顔をみることすら辛くなってきたからと、夫に言われた。
夫の子供であることはどんな検査をしてもわかることなのに、夫は重要なことはそこじゃないんだって言っていた。
私は無条件におなかに宿ってくれた子は全て自分の子供だし、お腹を痛めて産んだ最愛の子供たち。
でも夫は、彩斗のことを自分の実子として一生懸命育ててくれた。
でも、私が妊娠したとなると、もうわけがわからなくなると言っていた。
申し訳なさそうに、いろいろと提示してくれた。
子供たちへの説明もきちんとしてくれた。
ママと一緒に新しい家に住むんだよ、でもいつでもパパに会いに来てくれたらいいんだからね、と。
長女だけがニコニコしていた。
次女はわけがわからないのか、でも、雰囲気を読んでしまったのか、とても考え込むような顔をしていた。
新しい家とはそんなに近くもないけれど、自転車で10分もあれば行ける距離でもあるから、ママが連れてあげることもできるからねと話していた。
この家にいるのが最後ではない、そのことを理解してもらいたかった、大人の勝手でママやパパが離れて、不自由を強いられる、なんてひどいことをしたのだ、自分を責め続けて、一生懸命生きていこうと決めた日だった。
紙の上でも私たちは夫婦ではなくなった。
お腹の子供は夫の子、でも、過去が拭い去れずこうなった。
妊婦で三人の子を連れて、離婚した。
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