第33話 夫の覚悟、私の覚悟
母が子供たちを寝室で見てくれていることを話し、夫には一度家に帰ってきてもらった、
いつもなら晩酌などをするテーブルでコーヒーをいれ、向かい合って座った。
そして、話を切り出した。
「あのね、この生活になってから段々子供たちも勘づいてきてるところもあってね、たまに情緒不安定になるのね、彩南が。でも、それは私の過去があって起こったことだし、私の責任だと思ってる」
夫は下を向きながらも、うなづいて聞いてくれている。
「彩斗も受け入れてくれた、その時のあなたの気持ちは私にはわからないほど、傷ついただろうし、すごくつらかったと思うんだ。」
少し夫は顔をあげた。
「この状況は子供たちによくないなと思うのね、生活もままならなくなってきて・・・離婚しよう」
そう言ったら引き留めてくれるかな、ちょっとだけ期待していた。
夫は
「離婚したとして、お前はどうやって生きていくんだ、家はどうするんだ」
気持ちとか愛情とかそういうものではないんだなと思った。
逆に、夫は別居の時にすでに心に整理を付けていたのかもしれない。
少し悲しくなってしまい、泣いてしまったが、それが弱みとなってはいけないと思い、話をつづけた。
「家は今から探すよ、それに仕事も働けたもんじゃないから、少しお休みをもらう。国のひとり親制度と、内職でもなんでもして育てていくよ」
そういった。
覚悟はできている。
ただ、覚悟半分期待半分だったのが話しているうちに覚悟が決まった。
養育費は彩斗の分までは支払う、移動するときの車もそのまま乗ってくれればいい、子供にかかるお金は全て夫が出すと。
短時間でいろんなことが決まっていく。
私はたんたんとそれを話していった。
残るは現実なのだから、自分の気持ちなど話してる余裕はない。
ただただ、夫にありがとう、それしか言えなかった。
これから、わたしはシングルマザーになるのだ。
たくさんの子供を抱えてシングルマザーになるのだ。
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