第31話 母として

歓迎されない子だと思いたくない、夫との正真正銘の赤ちゃん。

このことを誰にも相談することもできず、忙しい毎日とつわりでいっぱいいっぱいだった。


職場では一応、妊娠していることは報告した。

実家の母にも報告した。

おめでたいはずなのに、一番喜んでくれるであろう人がとても苦しんでいる。


ある日の夜、夫が重い口を開けた。

夫は自分の子であることは頭ではわかっていても、もう気持ちの上ではそれが信じられなくなっていると。

もちろん私が悪いこともわかっているし、それもすべて受け入れて、彩斗のことも愛してくれている。

ただ、妊娠したことにより、過去のことを思い出してしまったと。


トラウマになっていたと。

そんなことなら、求めてきてもきちんと避妊していれば・・・

でも、今お腹にきてくれた赤ちゃんに申し訳ないからそこは考えないようにしていた。


深く心の傷になっていることもわかった。


私は産みたい、夫との子だからもちろんのことだと。

夫は賛成してくれなかった。



あの時傷つけてしまったことが今でも夫の心にずっと傷をつけているままだった。


「ごめん、産むなら別居しないか」

そういわれた。

お腹が膨らんでいくことも今は受け入れることができないと。


しばらく考えたい、一週間時間が欲しいと伝え、しばらくはいつものあわただしい日常が戻った。


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