第24話 自分中心

自分を取り戻したい。

そんな気持ちが少しでも芽生えたことを申し訳なく思いながら、すぐに家に戻った。

近所の公園は徒歩1分ほどの場所だったから、子供たちは泣きながら、窓からこちらを見ていた。


戻って、まず、

「さいちゃん、さゆちゃん、ごめんね、ママ大きな声出しちゃったね」

と、二人を抱きしめた。

「ママ、あーくんが泣いてるの」

彩南が言う。


彩斗は泣きながら眠りながらという感じで、ぐずぐずしていたので、抱きかかえてゆらゆらとして、寝かしつけた。


後ろではおむつをもった彩幸が立っていた。


「さゆちゃん、おむつ変えるの?ウンチ出たのかな?」

って聞くと、

「あーくん」

と言って、おむつを差し出す。

そのおむつは彩幸のものだけど、彩斗が泣いたから自分と同じようにおむつが気持ち悪いのかなと思ったようで、そんな気持ちになってくれることが愛しく思った。


家をとびだすなんてなんでそんなことしてしまったんだろう、たった数分。

それでも、こどもたちを怒鳴り、外に飛び出してしまった。


自分中心にものごとがなんでもすすむわけではないのに、

少しイラっとした自分が情けなく思ってしまった。



この時相談できる人がいればよかったのだけれど・・・。

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