第18話 娘の我儘

長女が生まれたとき、母に家に来てもらって、ずっと世話を手伝ってもらっていた。

最低でも一か月は私を休ませるようにして、手伝ってくれた。

もちろん誕生も喜んでくれたし、とても可愛がってくれた。夫と母が協力してくれることがとても嬉しく、幸せな気持ちになった。


次女が生まれたとき、長女は少し寂しそうに見えたと母は言った。

私はそんなことより、次女の夜泣きや、新生児ならではの細心の注意をはらって生活をしていたので気づかなかった、必死だったし、もちろん、長女のことも気にかけていたけれど、見事に赤ちゃん返りもしてくれたし、なんだか二人も赤ちゃんがいる状態で、可愛いのだけれど、体力的には限界もあった。


亮君の存在も大きかったけれど、次女が生まれる少し前から、生まれた直後までは亮君と連絡をとることはなかったから、頭の中から消えたり、出てきたり・・・。

目の前のことにいっぱいいっぱいだったから、それどころじゃなかった。


長女も次女も妊娠が分かった時、一番に夫に話した。

そのつぎが母だ。



今回はそれらとはわけが違う。

言わなければわからないかもしれない。

だから言わずにおこうとも思った。

でも、妊娠してる間に、検診はあるし、次女もまだ小さい、長女は保育園に通いだし、そろそろ自分ではキャパオーバーになってしまうと思った。


父親が違うけれど、夫との婚姻関係も続けていくって、ある意味、あってはいけないことを自分の我儘であたかもあってもいいことのようにしてしまっていること、後ろ髪をひかれる思いだったりもするけれど、母に話すのはもう少し後にしようと思った。



妊娠6か月で、母に打ち明けた。

母は、泣かずに怒らずに、ただただ私の話を聞いてくれ、これからどうするのか、どうしていくべきなのかを中心に話してくれた。

ごめんなさいの気持ちは夫に、ありがとうの気持ちを家族にと、ずっとその気持ちを持ち続けることだけは忘れないようにと言われた。


ごめんなさい、ありがとう、その言葉は直ぐにくちにできる。

でも、今回ばかりは重みのあるごめんなさいと、ありがとうだった。


自分の我儘に動き、考え、こうなった。

我儘に付き合わせてしまうことと同時に、自分の思い通りにいかなかったことで過去の自分を責めたい。

後悔先に立たず。

そういうことだ。



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