第15話 我が子を守る
日に日に食べられるものが減ってきていて、食べ物の好みも変わってきて、それが見つかることがなかったのはやはり夫の帰りが遅かったからだろう。
胃腸風邪に似た症状だったけれど、つわりだ。
私は彩南のときも彩幸のときも、臨月までつわりがあった。
あの苦しみがまた来たかという思いと、お腹に来てくれたのだから大切にしたいという思いと、実は夫が父親じゃないこと、いろんな思いが駆け巡る。
亮君にまずは話そうと決め、夫の帰宅時間が遅い日に、亮君に家に来てもらった。
亮君に、話した。
「信じられないかもだけど、私と亮君の間に赤ちゃんができてね」
と話し始めたら、亮君の態度が急に冷酷という言葉が似合うほどの豹変ぶりだった。
「おろせないの?」
亮君のこの一言が私の中では一生許すことはできないだろうと思った。
遊びだとはわかっていたのだから、私にも責任がある。
でも、そういう手段を即答できる人柄に、冷酷さと、何とも言えない感情になり、涙が止まらない。
結局、傷つくのは女性の方だ。
こういう問題に悩むことがあるなんて思ってもなかったから、もう頭の中が真っ白になっていた。
それでも、産みたい意思は伝えておいた。
亮君が逃げるように帰っていく背中を見て、後悔をした、自分を恥じた。
どうして・・・。
お母さんなのに、どうして・・・。
でもお母さんも女だし、妻も女。
女性扱いしてもらって、お姫様のような気分にさせてくれるんだもん。
それが招いたこの結果だった。
後悔してもしきれない。
今後のことも考えないといけないけれど、夫に話すのはもう少し待とうと思った。
体力的に限界になってしまったから、メンタルも弱ってきたんだなと思った。
子供たちが寝てから、夫が帰ってくるまでに少し泣いた。
そのまま寝てしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます