第11話 不仲

楽しく過ごしていたのだけれど、さすがに二人の娘の鳴き声や、目の離せない時期にあって、疲れがたまってきて夫に八つ当たりするようになった。


夫は仕事が忙しく、育児も、家事も、私が一人でこなしていた。

いわゆる、ワンオペ育児だ。

世の中にはこれに、まだ、パートで働いている人もいるのだから本当に、尊敬してしまう。

毎日が子供たちの世話だけでどんどん過ぎていくことにやがて夫への不満も爆発寸前だった。

夫は仕事から帰っても、子供たちは寝ている時間なので、寝顔を見て少し二人の娘の寝姿を眺めてから、食事、入浴を済ませ、ベッドに入る。

会話もほとんどなくなってきた。

というよりも、夫は疲れていて、私も疲れていて。

イライラしている状態が夫婦の間でお互いにわかっていたので会話もなく、必要最低限の話だけをしていた。


そんなある日のこと。

ふと鏡を見たときに驚いた。

夫は夜中に帰ってくるだけの日々で、気が付けば、夜の営みもなかった。鏡にうつった目の前の女はみすぼらしいものだった。

「母」であり、女ではなく、妻でもなく。

生活感がにじみ出て、疲れもにじみ出て、本当につまらない女がそこにいた。


育児をしていれば、そりゃ髪の毛もぼさぼさ、服も引っ張られたり、汚されたりもするからぼろぼろ、こんなふうになりたくて結婚したわけでもない、こんな風になりたくて彩南や彩幸を産んだわけでもない。


こんなひびがずっと続くのかと思うと、悲しくなって涙をこらえた。


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