第8話 凍った豆腐
欲望のままに生きていけたらどんなにいいだろう。
冷や汗が流れた。
亮君と重なり合っている途中、彩南が起きてきたのだ。
「ママー」
すぐに亮君から離れないとっと思う、でも、もしかしたらもう少し・・・と思っていたら、亮君がそのままで場所を移動し、キッチンの死角に入り、二人で果てた。
泣き叫ぶに近い彩南の声にハッとした私はすぐそこにある服を取り、とりあえず身を包んで彩南にかけより、抱き上げた。
彩南をあやしてる間に、亮君が服を着て、少し散らかったものを片付けてくれていて、彩南が気づいた時に、
「こんにちは、彩南ちゃん、ご機嫌ちゃんかな?」
と話しかけ、たまたま遊びにきていたような日常を取り戻した。
亮君を見送り、晩御飯を作っているときも、彩南にご飯を食べさせてた時も、ずっとずっと亮君のことばかり考えていた。
今日のことを思い出し、浸っていた。
そのころから、私はいつ何時も携帯を離さなくなった。
夫が帰ってきて、お風呂に入ったら、亮君とメール、彩南を寝かしつけるときも亮君とメール、とにかく夫の目を盗んでは亮君と精神的にもつながりを求めた。
それが夫に見つかったのはすぐのことだった。
彩南のためなのか、お腹の子供のためなのか、私への愛情なのか責められることもなく、亮君とは関係を断つことで表面上解決となった。
凍った豆腐の角で頭を打ってでも反省するべきだと、この時の私はまだ気づくことはできなかった。
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