第4話 溺れるには簡単なこと

夫はとてもまめな性格だ。

そして、とても私を愛してくれている。

もちろん生まれてきた彩南(さいな)のお世話も仕事で疲れていても、きちんとしてくれた。

夫の収入もそこそこあったし、特に何に困ってることもなかった。


逆にそれがダメだったのか今となってはわからないけれど・・・。


亮君が、有給休暇を使って家に来るというのだ。

彩南もいるし、食事といっても簡単なものしかできないけれどと、家に入ってもらった。

もちろん夫には亮君がくることは連絡しておいた。

「おいしいものでも食わしてやってくれ」

そうメールの返事があったので、冷蔵庫の中を思い出しながら、お迎えした。


お茶をだし、今お腹にいるこは男の子か女の子かなどという話をしていた。

不意の沈黙がよくなかったのか、亮君が、私のそばにきてキスをしてきた。

私は長女を育てながら、次女がお腹にいる、女子力なんてかけらもないと思っていたけれど、亮君はそんな私を「女」にしてくれた。


夫には悪いとは思わなかった。

お腹にいる次女には申し訳ないと思ったけれど・・・。

亮君と男と女の関係になってしまった。

私はもしかしたらそういう依存症なのかもしれないと、その時思った。

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