第8話 第二の依頼者

昼ご飯を食べ終えて俺と月乃が談笑しているとドアが叩かれ、失礼しますっ!と部室に入ってきたのは水色の髪をポニーテールにしている女の子と——。


「部活動がスタートして初日に部員を1人確保し、そのうえ昼休みもボランティア部の部室にいるとは……やる気十分だな!お前たち!」


——小波山先生だった。


月乃のリクエストにより昨日のうちに入部の旨を小波山先生に伝えておいたのだ。


あの時の小波山先生の驚きようにはびっくりしたね。オーバーリアクションなんだよ、先生。


まあ、それはさておき。


「先生が同伴とか……どうしたんですか?」


「依頼したいことがあるって言われたからボランティア部の部室まで連れてきたんだよ」


なるほど。


「月乃、あのポスター剥がさなくてもよかったんじゃないか?」


「ボランティア部が卑猥な部活に思われるでしょ」


思われる要素がゼロだと思うんだけど!


あのポスター、ポロリしてないんだしさ!


「私も思ってたんだが、卒業した人達と九条がこれは芸術だ!愛好会を象徴するものだ!って言って撤去してくれなかったんだ。感謝するよ、月乃」


「いえいえ。これも副部長の役割ですから」


「頼もしいな!それじゃ私はこれで。頑張れよー」


俺の味方はゼロですかそうですか。


というか勝手に副部長になってるんだが?


俺許可してないよ?


「九条!椅子を用意して!」


俺は言われた通りに椅子を用意し、女の子を座らせる。


「えっと……ありがとうございます。あの、私は2年の黒宮闇音です」


「俺は九条唯人で、隣に座るのは月乃胡桃。俺たちも2年なんだよ」


「そうなんですか?」


「おう。ちなみに俺と月乃はB組だ」


「あっ、同じです」


まさかの同じ学年でしかも同じクラスだった。


だけど……。


「俺、黒宮を見たことがないんだよね」


「仕方ないよ。入学してすぐに引きこもりになったらしいし」


「どこ情報?それ」


「グループLOINで見たの。まぁ、もうブロックされたけどww」


へー、そんなことやってたのか。


知らなかった。


「あの!保健室で授業を受けてましたが、引きこもりにはなってません!その情報は嘘です!」


「噂って広まっていくうちに誇張されたり改変されたりするから俺は直接人から聞いたことしか信じてないかな」


「私も!」


その答えに黒宮は安堵の表情を見せ、そして。


「あの、私……もう一度教室で勉強したい……です!あの……できますか?」


「「勿論!」」


俺たちは頷いた。

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