第6話 月乃胡桃の様子が変だ

 朝、俺は何度も振動するスマホの音で目を覚ます。


 時刻は時計を見ると午前6時。


 詐欺業者からの電話か海外からの国際電話かはわからないが朝からやめて欲しいものだ、と思いながら俺はスマホに手を伸ばして画面を見る。


 するとそこには”月乃胡桃”という文字が。


 月乃胡桃……あっ!


 こんな朝早くから電話かけてくるのかよ……早起きだなぁ、アイツ。


『おはよっ!九条』

「おう。早いな」

『何度電話しても出ないから心配したよ〜。で?なにしてたの?』

「寝てたに決まってるだろ」


 だってまだ朝の6時だぞ!?


 ブラック企業勤務の人以外はまだ寝てるって!


『そうなんだ。あのさ、昨日お弁当美味しいって褒めてくれたじゃん?だから作ってるんだけど……入れて欲しいものとかある?』


 弁当かぁ……ん!?


「……えっと、マジ?」

『うん』


 そっかぁ。


 作ってるのかぁ。


 そこまでまだ深い関係じゃなくね?と思ったけど……嬉しいからおっけー!


『どうしたの?』

「いや、なんでもない。材料費何円だ?」

『え!?いらないよ?私が自主的にやってるだけなんだし』 


 ……ふむ。


 そう言うならお言葉に甘えるか。


「わかった」

『うん♪で?なに入れて欲しい?』

「玉子焼き」

『わかった!それじゃ、学校で!』

「おう」


 月乃との通話が終わったので2度寝をしようとベッドにインしたのだが、衝撃的な事実のせいで眠気が退散してしまい、寝れなかった。



 俺はいつもより早く家を出て学校に向かう。


 早起きは三文の徳というが、現在の価値に直せばそこまで大した金額じゃない。


 それを知った時に早起きしても意味なくね?と思ったりしたのだが……いいことがあった。


 なんと!学校の近くのコンビニでギャルゲーからアニメ化した作品のグッズが販売していたのだ。


 これは……買いだろ、と思ったが予算的にキツい。


 熟考した結果、推しの妹キャラを買うことに。


 俺は店員に1500円を支払い、カバンの中に大事に入れてからコンビニを出る。


 ごめんよ、残りのキャラクターたち。


 今月は新作のギャルゲーがてるから買うことはできない。


「あっ!九条!」

「……月乃か」


 ひとり悲しみに暮れていると月乃が駆け寄ってくる。


 朝から元気だなぁ。


「どうしたの?朝から元気ないね」

「そうか?」

「うん。なにかあったの?」

「なんでもない。さっ、行こうぜ」


 そう言ったのだが、月乃は俯いて動かない。


「おーい、月乃?」


 呼びかけても返事なし。


 俺は近寄ってみる。


「九条が隠し事した九条が隠し事した九条が隠し事した九条が隠し事した九条が——」


 うん、呪詛だね!


 朝から怖いね!


「あのー、月乃さん。話すので呪詛やめて」

「うん。やめた」


 俺は切り替えの早さに驚きつつも、さっきあった出来事を話す。


「なーんだ、そんなことね。そんなのいらないじゃん」

「え?下着が見れるんだぞ!?」

「……はぁ?」

「イエ、ナンデモナイデス!」


 低い声やめて。朝から怖いから。

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