第2話 泣かせてしまった……
次の日の昼休み。
俺は昼ご飯を購買で買い、いつもぼっち飯をしている場所である校舎裏に行くと先客、栗色の髪を腰まで伸ばしている見覚えのある女の子がいたのだが……悲壮感が凄かった。
きっと何があったんだろう。俺はドンマイ、と心の中で励ましてから少し離れた場所に座って昼ご飯を食べようとしたその時。
「九条だ」
女の子が話しかけてきた。
というかなんで俺の名前を!?
「えっと、誰?なんで俺の名前を知ってるんだ?」
「九条とクラスメイトなのにわからないとか草。私は月乃胡桃。覚えてよね」
「おう」
よし、覚えたぞ。
これでもう忘れないぞ……多分。
「ねぇ、九条」
「ん?」
「このお弁当、食べてくれないかな?」
ギャルゲーのイベントが
……っと落ち着け、俺。
親しくもない女子から弁当なんて貰えるわけがないだろ!?常識的に考えて!
ということは……。
「彼氏に作ったけど、振られて作ってきたのが無駄になった、てところか?」
「……九条って勘いいほう?当たってるよ」
マジかよ。
なんか気まずいなぁ……あっ!
「俺、実を言うとボランティア部に入ったんだよ」
「……へー」
「愚痴ぐらいなら聞くぞ?」
「……いいの?」
「ああ」
頷くと月乃はぽつりぽつりと話し始める。
内容を要約すると、弁当がお世辞で美味しいと褒めたら毎日作ってきてウザい、LOINのメッセージに既読をつけるのが遅くなっただけで浮気を疑うところとか重い、といったようなことを言われしかも、元カレの隣にはすでに新しい女がいて、その女と比べて私のことをブスだのとバカにしたんだそう。
で、その女は去年のミスコン一年生の部の第一位に選ばれた人らしかった。
「……鬼畜だな」
「だよね……。あのさ、九条にこんなことを聞くのはどうかと思うんだけど、私ってブスなのかな?」
……なに言ってんの?コイツ。
「月乃は俺基準だとものすごい美少女に位置するんだけど」
「あ、ありがと」
「それと、弁当をも美味しかったぞ。元カレの弁当を作っている過程で上手くなったんだな」
俺は優しい声音で月乃に言うと、月乃の目から涙が……え!?泣くの!?
これが誰かに見られたら俺が泣かしたことになって……想像したくないな!?
「グスッ……九条……ありがとね……ヒグッ……」
「お、おう」
お願いだから誰も来ませんように!
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