エピローグ

「っていうことがあったのよ」

 頭を掻きながら、母である静所雷鳴へ話し掛けるアリサ。


 アリサが気が付くと、彼女は京王閣競輪場内の食堂で眠っていた。既に京王閣競輪場でのレースは終了し、眠ったままのアリサに困った店員が警備員を呼んだ。

 その後、アリサは眠気と酔いの混じった頭を抱えて調布市内の実家へ帰って来ていた。


「競輪の神様か。まあ、いるんじゃないか?」

「えっ?本当、ママ?」

 母親の言葉に少し酔いが醒めるアリサ。

「幾らでもいるだろう。日本中の競輪場を探せば自称・競輪の神様っていうジジイは。何にも珍しいことはない」

 素っ気ない態度の雷鳴。

「そうじゃなくて、本当に私は異世界に行ったのよ」

「はいはい。なら、それをネット小説で書けばいいじゃないか?」

 アリサの話を微塵も信じていない様子の雷鳴。


「もう!ママのおバカ!自分の娘を信じないなんて!」

「わかったから。早くお風呂に入って寝ろ。見事みことの勉強の邪魔をするな」

「ふん!もう知らない!」

 アリサはリビングを離れた。

 またも自分の体験を信じてもらえなかった。そもそも自分たちが魔法使いなら、こんな不思議なことが起きてもおかしいはずがないのに。そう思うアリサだった。


「まあ、いいか。バチっと当てたし。神様相手に二連勝したし」

 背伸びをしながらバスルームへ向かうアリサ。気分を切り替えて風呂に入ろう。そう思う彼女。

 が、ふと足を止めるアリサ。

「まさか、もうこんなことはないよね・・・」

 寛仁親王牌、競輪祭を観戦したアリサ。それが終わると、次に来るビッグレースは年末の競輪グランプリだ。

「考えすぎかな・・・」

 そう呟いてバスルームへ入るアリサだった。


「競輪の神様と非実在の競輪予想師 パート2」 完

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