第2話 悪夢のような再会

生きた心地のしないアリサ。以前、この老紳士にはとんでもない目に遭わされた。異世界に連れていかれて、そこで競輪勝負を挑まれたのだ。

前回は正直なところ、運が良かったとした言えない結末だった。だからこそ、この元の世界へ戻って来れた。が、彼が再び現れたということは、次にどんなことが起きるのか、アリサにはすぐに想像できた。


「何?若い女性に付きまとうなんてクソ爺のすることじゃないわね」

「う~む。相変わらずの減らず口じゃな、小娘よ」

競輪の神様もまたビールの注がれた紙コップを持っていた。

「神様のくせにお酒を飲むのね?」

「まあ、ビールの神様も兼任しているかなら」

得意げに言う競輪の神様。神様にあるまじき言動だと思うアリサ。

「今日、ここへ来た理由は何だと思う?」という問いかけが白々しい。そう思ったアリサは眉間にしわをよせる。


「どうせ、リベンジしに来たんでしょう?私に負けたから」

アリサの『負けた』という単語に反応する神様。

「負けたとは心外だな。あれは審判の判定がおかしいんじゃ」

未だに異世界の寛仁親王牌の結果に納得していないのかと呆れるアリサ。

「まあ、いいわい。今度こそ、お前に勝利する。今度は難しいぞ」

不敵な笑みを浮かべる競輪の神様。自信過剰なのか、それとも何か秘策があるのか。一気に警戒心を強めるアリサ。

「どうする気なの―」と、アリサが喋りかけた瞬間、眩い光がアリサと競輪の神様を包んだ。

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