競輪の神様と非実在の競輪予想師 パート2
鉄弾
第1話 あれ?このパターンって・・・
今日はシフトで仕事が休みの
京王閣競輪は、京王相模原線・京王多摩川駅を降りてすぐの競輪場。そこは数々の名勝負を生んだ競輪場であり、アリサにとっても、首都圏の競輪ファンにとっても馴染み深い場所である。
今日はFⅠ・ナイター開催が行われている京王閣競輪場。本場でのレースはナイターのため、十五時以降にレースが始まる。しかし、京王閣競輪場では午前中から岐阜競輪場で開催されているS級シリーズ(FⅠのこと)の場外発売もしていたので、アリサはその段階からここを訪れていた。
時刻は十七時を過ぎ。もうすぐA級の初日特選が始まる。アリサの手元には投票用のマークシートが無造作に置かれている。しかし、次のレースはスマホの民間ポータルサイトから投票しよう。アリサはそう考えていた。
季節は秋。十一月なり、いよいよ今年最後のGⅠ・競輪祭がアリサを待っている。その前に、軍資金を地元のレースで稼がなくては。呑気にそんなことを考えていた彼女だが、不意にテーブルの反対側の席へ誰かが座った。
競輪場内の食堂において、全く見ず知らずの人と相席をするのは珍しいことでもない。そのため、特に気にもしていなかったアリサ。が、相席をした人物が突然話し掛けてきた。
「久しぶりだな、小娘」
その声を聞いて、アリサは酔いが一気に醒めた。反射的に目の前を見たアリサ。そこには見覚えのある老紳士がいた。
アリサと目が合い、嬉しそうな表情を見せる老紳士。
「競輪の神様・・・」
アリサは持っていた割り箸を落としてしまった。
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