夜空~空説~

Fkuro

第1話 Another

♪~(音楽)

「僕は蓮也。最近歌い手にハマっているごく普通の高校生」…とか言ってみたい小説オタクの僕。

夏が終わりかけたこの頃に相応しく心地よい温かさの中、耳元で聴こえる軽快なリズムが騒音となって僕を襲ってくる。

スマホを見ると8時を過ぎている。今日は月曜。当然学校はある。学校は8時30分を過ぎたら遅刻だ。

家から学校までは約8キロ。チャリで30分はかかるのでもう遅刻を決意し、家でダラダラとパンを食べながらスマホを見ていると幼なじみである恷斗(キュウト)から数分前に鼻にかかったような低くていい声の留守番電話が来ていた。

「"今日から"学校休みだってよ」と。

僕は嬉しさのあまりすぐに折り返し電話をした。

詳しく話を聞いてみたらすぐに予想を遥かに上回る事態の悪さらしい。

休みの理由。それは、"人が消えている"かららしい。人が消えている理由は「"地球外生命体"が人間を襲っている。」との事だ。それらをCLOMと名付け、対抗策を考えているらしい。現在確認できている中で地球上から120万人が行方不明になっており、日本でも6万人程確認されている。もちろん僕が住む街でも近隣の人が数名消えている。

まず僕がとった行動。それは家族の安否の確認だ。まず僕、蓮也は無事。妹である恭香(キョウカ)も無事。父の恭也(キョウヤ)も無事だ。分からないのは叔母の未来(ミライ)…だがここ数ヶ月見てないからよく分からない。もう死んでいるかもしれないしどこかで生きてるかもしれない。そして幼なじみの恷斗(キュウト)、その妹の杏(キョウ)も無事だ。もう1人の幼なじみ悠宇(ユウ)も無事らしい。僕の体は気づくと言い表しようのない恐怖と興味心で大きく震えていた。まずはサバイバルに必要な食べ物を確保すべく、人が消えてそうな家に向かった。人が居ないことを確認して中に入ってみるが、室内は無法地帯のように荒れていた。しかも、よく探ってみると壁や床に血痕がある。よく見たら粗末な隠され方をしている。

そして壁には獣が引っ掻いたような傷があったり…

とにかく言えるのは不気味という事。

「さっさと漁って帰りたい」

そう思えば思うほど、足元が竦む。

歩く度にバキバキなっている。

歩いていると足がどんどん震えていき、転んでしまった。転んだ場所を見ると、腕のようなものが落ちている。

拳を固く握った青い腕。

恐る恐る拳を開くと、鍵があった。

メーカーを見ると、どうやら金庫の鍵らしい。近くにある1m位の大きな金庫がある。

その金庫にダメ元で鍵を刺してみると、ダイヤルは既に開いていた。

中に入っていたのは、拳銃2丁と弾薬14ダース。万が一の時に備え、僕はそっとポケットに銃を突っ込んだ。

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