第11話 人工肛門になったお話 5
無事に退院して家族に「臭くない?」
と確認するのが日課となりました。
「大丈夫。臭くない。」
と皆んな答えるのですが、トイレで便を捨てた後に入った娘までに大丈夫と言われたので気を使っていたと思います。(時間がかかるので匂いがこもる)
自分がしばらくしてスマホを忘れてトイレに戻ってみると臭かったりしました。
人工肛門用のグッズはすべて電話注文でした。
病棟のストーマ専用看護師さんから渡されたカタログを見て注文するのです。
私は値段に不満を持っていました。
ネットで調べると安い物もあるのです。
そこでお店に電話してお店に直接買いに行って品物を見たいと言いました。
ところがお店には商品はほとんどなくお客さんからの注文があってから取り寄せるシステムだと言います。
その代わり4社のカタログを送ってくれました。
そのカタログを見ますと、1週間も持つ500円の袋がありました。
袋には腸からのガスが溜まります。なので小さい窓、(空気抜きの活性炭フィルター付き)があるのですが、そこから微かに匂いがするのです。
皆んなに幻臭だと言われましたが防音室でその幻臭に悩むのはストレスでした。
そこで私は窓にテープを貼って過ごしていました。
袋は数時間でパンパンに膨れ上がります。
人はこんなにガスを出して生活しているんだなと驚きました。1日のトイレの回数が6回くらいに増えましたがテープを貼るだけでも安心してレッスンが出来ました。
袋の中に匂いを軽減するジェルを入れると随分と気持ちが楽になりました。(これもお高いのです。すぐ無くなるし)
カタログを見てみるとフィルターの無いものは値段が安いのです。私は飛びつきました。
寝て起きた時の朝は袋がパンパンでしたが破裂するほどではありません。袋はそれなりに大きいのです。
フィルターがない上に7日間付けっぱなしで大丈夫なのを見つけ早速にお店に電話しました。
お店の人は
「新しい製品はお勧め出来ません。どうしてもと言われるなら試供品を2つお送りします。」と言われます。
バーバラは飛びつきました。
「それではこの2製品をお願いします。」と注文番号を言いながらニンマリです。
だって一つ500円の袋がただで手に入るのです。
もう一つは600でしたので2200円分も得しました。
欲をかくとろくなことにはなりません。
7日間も袋を付けっぱなしということは人工肛門の付け根が7日間も不潔なまま過ごすということ。
人工肛門の付け根が膿んでしまいました。
それでも袋の貼り面は傷を治す成分で出来ているから自然治癒すると信じ込んでいたのです。
1ヶ月ほど試供品で過ごした後に同じ製品を注文しました。1ヶ月分の出費が浮いたのでご機嫌でした。
その後からどんどん傷が悪くなり穴が開きました。落とし穴みたいなのです。直径7m mくらい。
何故その穴は絆創膏の成分で塞がらないのか?
不潔過ぎるのだと気が付かなかったのです。
貼り面はピッタリと傷口を塞いでいて便が入る余地などないと思い込んでいました。
その傷は人工肛門の真下で少しずつ沁みていたのでしょう。
病院で手当を受けることになりました。
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