別に死にたくなどはなかったのだから
そしてもうひとりは沙世子の父にして会社を経営している人物でありこの会社の実質的な経営責任者である海渡啓一郎その人だった 沙世子の父親は元々は海を渡って日本にやってきた移民だったのだが仕事を通じて知り合ったのをきっかけに意気投合したことで、それまでは別々に暮らしていたのだが沙世子が生まれた後は共に暮らし始めていたのだがそんな折に玲が沙世子の家に泊まりに行った時に、玲に一目ぼれしてしまう のだが、その時の玲は十歳だったがそんな沙世子の思いを察した玲子は二人の仲を引き裂くために玲の母親が亡くなって沙世子が一人で暮らすことになった途端に自分の家に連れて帰ってきてしまうのだがそれでも二人は互いに好意を持ち続けたのだったが結局は結ばれることなくこの世を去ってしまうことにはなったのだがそれは、玲にとっては幸せなことだったようで特に不満を言うこともなく、玲は母親とともに沙世子の葬儀に参加するために再び日本へやってきたのだったが、そこで事件は起こる。
葬儀が終わった直後、突然会場が爆発に巻き込まれてしまったのだ。
しかも爆発を起こした人間は玲の父親の秘書で副社長を務めている人物で玲には恨みを抱いていたのだがそのことを知っていた秘書が犯人であったのだ。
しかもその爆弾は彼の体内に埋め込まれていて自爆覚悟のものだった。
そのためその場から逃げることができず爆死してしまったのだった 。
だが玲にとって幸運だったのは爆発が起きる前だったら、玲だけは助けられるはずだったのだが秘書の彼は、自分の体でそれを成し遂げることはできたのだろうか 。
ともかくこれによってこの事件は一応の解決を見たが世間的には未解決のままである。
沙世子も事件の当事者だったこともあって事情聴取のために警察の所を何度か訪れたりしたが、その事件が起こったのは十六年前ということもあって、警察でも既に時効扱いになっているためこれ以上の捜査が行われることはないのだが、この事件に関してだけは非常に謎が多かったので、警察は独自に調査を行い始めた そしてその中で沙世子の両親が真相にたどり着くのはさほど時間が掛からなかった。
そもそも今回の事件については秘書はあくまでも容疑者の一人としてリストアップされていたにすぎなかったのだが、秘書の行動について改めて洗い直すことで秘書自身が実行犯であることがほぼ確定されただけでなく秘書の実家の倉庫を調べたところ、玲の自宅にあったのと同タイプの起爆装置が発見されたことにより完全に犯人であることが分かった のだがしかしそれはあくまでも推測に過ぎなかったためになかなか警察に逮捕させることができなかったのだ それにしても沙世子があのタイミングで殺されたのはあまりにも偶然が過ぎたのだった なぜなら沙世子は十七年前には死んでいるのだから 当然あの場にいてはならなかったのだが、沙世子自身はあの場所で死ぬことがわかっていた。
だからこそ沙世子が死を選んだのだったがそれは結果的に言えば失敗だったのだ だが沙世子はあの状況ならば、自分が死んだ後に何が起こってしまうのかを予測することができて、しかもそれが沙世子の死後に起きた出来事だということは間違いないのであの行動は正解であると言わざるを得ないのだがそれでも死んでしまったことに関しては後悔せざるを得ないだろうが 沙世子としては別に死にたくなどはなかったのだから
(まぁ仕方ないよね。
あの時の私がどれだけのことをしてもきっと結果は変えられなかったはずだから 、だからもう考えないようにしよう。
それでいいのかな?)沙世子は自分にそう言い聞かせて、気持ちの整理を付けることにしたのだ それからしばらくして、担任の先生が入ってきた どうやら、これから五時間目の授業が始まるらしく、そのために教室に集まるようにとの伝達事項を言われた後ホームルームを終えた。
そしてすぐに五時間目が始まることになり その最初の時間は英語だったため準備をするということだったので その時間の間に各自席に着いた状態で配布されたプリントを読んでおくことの指示があったので早速沙世子も読んでみることにした その内容はこうだった 【今日の5時限目の授業ですが クラスメートが変わったようです】
ということから始まっているのだった 沙世子はその文章を読むと
(はぁーやっぱりそうなんだ。
まぁ予想していたことだけどね)と思いつつ更に続きを読んだ するとその次には 【新しいクラスになったので、クラスごとに分かれてもらい、授業を受けます。
1-Bは2階で授業を受けることにします。
2-Bは引き続き3階の教室を使います。
詳しくは冊子をご覧ください】と書かれている文章を見つけることができたのだ
なので今度は2-Bの生徒全員が2階に移動して1-Aの生徒が3階の教室を使うことになったことで教室を分けることになった 沙世子はその指示に従って1組に移動するとまずは自分の座席を確認したところそこには『水無月』と書かれてあるプレートがありそれを確認すると、沙世子の机の上にある机の上には何冊かの冊子が置かれているのを発見したのだ そしてその中には表紙に『C組案内パンフレット 配布用』と書かれていたので沙世子はそれを取りだした後中をパラ見したところ中には、2組の生徒全員の名前が載っていた それによると、沙世子のクラスはC組という名前らしい 沙世子はその名前を見て(C組か、なんだかちょっと嬉しいな)と思った ちなみにCというのはCeriseの略でいわゆるお嬢様という意味になる のだが沙世子がどうしてそう思ったのかと言えば沙世子は玲の母親である玲美のことをCeriseと呼ぶことを密かに気に入っていたからである。
それはともかくとして沙世子は小冊子の内容を確認すると沙世子達のクラスで使う教科書は基本的には全部同じもののようだ ただ、教科ごとのページ数だけが違っているみたいだった またその中身については特に変わりはないようなので沙世子は特に心配することもなかったのだが とりあえず冊子に目を通すことにして沙世子は内容を確認し始めるのだった そして冊子を半分ほど読んだところでちょうど英語の先生と思われる女性が入ってきて、その人は「今日からあなたたちの担当の山下洋子と言います。
よろしくお願いします」と丁寧に自己紹介をしてくれたのだった。
それに対して生徒達は、「「よ、よろしくお願いいたしまーす」」とおそるおそるという感じではあったが、返事をしたのだった。
そしてそのまま「では今からテキストを開いてください」と言ったので、沙世子もその指示に従い指定された場所を開いたあと、先生が「今日はまず初めに前回やった内容の復習をしてからテストをするのでしっかり頑張ってください」と言ったので沙世子は(あれ?なんか前回のテストって言ってなかったけ うーん?そうだとしたらおかしいよね。
だってまだ一回目のはずだよね?なんなら沙世子はまだ一学期が始まってから一度も出席していなかったんだから)と思ったのだ
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