第41話
「ぷはっ……海斗……」
キスを終えたあと、凛は俺の方に両手を伸ばす。
ハグをねだっているのだ。
彼女のうるんだ瞳、赤く染まった頬、濡れている唇、凛の全てが愛しい。
「やっぱ、ずるいなぁ……」
俺は彼女の腕に誘われるまま凛の躰に密着し、抱き締める。
白い肌に点々と付いている赤い跡が俺のものだと言うことを主張していた。
「好き……好き……」
凛はそう呟きながら俺の体を抱き締め返す。
「海斗の体……温かくて好き……海斗好き……」
耳元でそんなに好きって囁かれるともう緊張と興奮で我慢ができなくなる。
布一枚挟まっているとはいえ、彼女の胸が俺に押し付けられているのには変わりはなく、あまりに刺激が強かった。
「俺も……凛が好き……」
「んっふふっ……よかった……」
凛は俺の肩に顎を乗せる。
さらさらの黒髪が頬に触れ、彼女の香りがさらに強く感じる。
「海斗の……もう我慢の限界……?」
俺の背中を撫でていた彼女の手が徐々に徐々に下の方にずれていく。
「もう……結構ね……」
凛の手は俺の背中から腰、そして俺の股間へと運ばれる。
「熱いね……」
「ちょっ……あんまり触られるとっ……」
「興奮してるんだ? 嬉しい……」
彼女は俺を寝かすと、上にまたがる。
凛の大きな胸を下から見上げると圧巻だった。
「じゃあ、そろそろしよっか?」
彼女はそういうと、俺のズボンに手をかける。
それから彼女は俺の体を舐めたり、刺激したり、包んだりした。
強い汗の匂いとお互いの持つ香りで頭がくらくらする。
肌が当たり合うたびに体は敏感になり、汗が伝う感覚さえもいつもと違った。
「んっふっふっ……海斗は動かなくていいから」
凛の一方的な奉仕。
でもそれは俺だけのためではなくて、凛も興奮し快楽を貪るためだった。
徐々に彼女の反応も限界を見せ、俺も耐えられなくなってくる。
凛は俺の上で甘い声を大きく響かせ、俺は彼女の体を強く強く掴んでいた。
「はぁ……はぁ……あつい……」
凛は脱力し俺の上にまたがったままゆっくり後ろに倒れ、腕で目を隠す。
服は汗のせいで肌に張り付いて透けてきているし、下着も汚れてしまった。
「大丈夫……?」
「うん、大丈夫」
凛はゆっくり腕をずらすと、また俺の上に寝そべった。
今度は胸と胸が重なり合い、お互いの顔を見える。
それにお互いの熱がよく感じられた。
「上手くなったよね……お互い」
「まぁ、何回もやってればね……」
リビングのカーペットの上だというのに今はベッドの上のような感覚だ。
凛は俺の頬を撫でながらじっと顔を見ている。
「汗すごい……」
「凛こそ……ほっぺたに汗がついてる」
彼女の頬には涙が汗かわからないほど濡れていた。
「シャワー浴びたいね……」
「シャワーか……」
「そうだ、一緒に入る?」
凛は俺の目をまっすぐ見ながらそう言った。
「え、でもシャワーだと流石に二人は寒くない?」
「じゃあお湯入れる」
彼女は汚れた下着をもう一度履き、リビングの入り口にあるボタンを操作し始めた。
どうやらそれでお湯を入れることができるらしい。
「少したらお湯入るから、それまで——」
凛が戻ってきた時、ふわっと汗の酸っぱいような香りを感じる。
本来なら嫌なはずなのに興奮で頭が馬鹿になってしまったのか、とてもいい匂いに感じてしまう。
「ちょっ……海斗……?」
俺は彼女の後ろに立ち、凛の片腕を上げさせる。
するとさっきまで気にもしなかったはずの場所が現れた。
俺は彼女の脇に顔を近づける。
「脇はだめっ……」
凛は匂いを嗅がれるのが嫌なのか抵抗を始めた。
「なんでだめなの?」
「だってぇ……」
彼女は俺から目線をずらし、頬を真っ赤にして黙り込んだ。
「言わないともっと恥ずかしいことするよ?」
「そんな……」
凛は両腕を胸の前で交差させる。
その恥じらいすら、今の俺には興奮を煽っているようにしか見えなかった。
「ほら、教えてよ」
「匂うかも……しれないから……恥ずかしい……」
彼女は渋々そういうと、さらに腕に力を入れる。
「じゃあさ、最初に勝手に一人で楽しんだ罰」
「そんなぁ……」
俺は凛の手を上げさせ、脇を舐める。
凛は罰という言葉のせいで抵抗することはせず顔を真っ赤にしながら目を瞑っていた。
「凛の汗の匂い……」
「やぁっ……恥ずかしい……」
凛の両手首を俺は掴み、耳すら塞げないようにする。
彼女はなんとかして言葉を聞かまいと抵抗しているが、それのせいでさらにいじめたくなってくる。
「凛の脇……ちゅぅ……蒸れてる……」
「やだぁ……言わないでよ……だから嫌って……」
「俺は好きだけどさ」
「へんたい……」
凛の熱気で汗が蒸発していっているのか、彼女の香りがより強く感じられる。
蒸れ独特の匂いも相まって俺の欲望をさらに掻き立てる。
「凛、好きだよ」
「そんなの……分かってるからぁ……恥ずかしいよぉ……」
彼女は涙を浮かべ、ふるふると首を振っている。
そろそろ可哀想に思えてきたので、俺は顔を離す。
「ごちそうさま」
「ばかっ……ばかぁ……」
「ごめんって……可愛かったからつい……」
涙目になり俺を可愛く罵倒する彼女に謝っていると、どこからかメロディが流れてきた。
「もう、私お風呂入る!」
「だからごめんって……」
よっぽど恥ずかしかったのか、彼女は着替えも持たずに脱衣室へと駆け出した。
もちろん俺も追いかけたので着替えを持っていくことを忘れてしまっている。
だが、それに気づくのはもうしばらく後のことだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます