第24話 星とネオン
東京は今日も雨、ふたご座流星群は見られそうもありませんね。
もっとも、ネオン街に生きている私にはたとえ晴れていても、周りが明るすぎて見られないんですけど。
ネオンも星のひとつ、そう私の星はネオンとあなた。
流れ星にお願いすると願い事かなうんでしょ。
あなたは何をお願いしますか?
健康、金運、恋愛、他にもぜーんぶお願いしたいですね。
でも、やっぱりお金?ですよね。
今年の漢字もずばり「金」ですもの。
私はどうどうといいます。「もっとお金が欲しい」
それで、キャバ嬢の収入って気になりますよね。あなたも知りたいでしょ。
これは、ピンからキリまで個人差が大きすぎて参考にならないんだけど、東京のキャバ嬢の平均は年収約390万円っていわれてるんだけど、でも本当はもっと多いんじゃないかと思います。
あくまでも私個人の感じですけどね。私の場合、最初のお店は若いお客さんが多い店で、忙しかったわりにお給料は安かったです。
それで徐々に分かってくるでしょ。仕事も他のお店のことも。それで店を変わることになります。自分の成長を感じたら、より上を目指して店をかわります。
そう、大衆店から高級店へ。仕事はそれに連れて難しくなります。
若いお客さんの多い店は友達感覚で、できちゃうんでけどね。
たくさんお金を頂くには、やはり努力が必要です。
それはどの世界も同じだと思います。
私が今いるお店は、お客様から頂く料金はかなり高いです。
そう高級店といわれているお店です。
それに比例して私たちの頂くお給料も高くなります。
でもお給料も高いけど支出も多くなります。その内訳は毎日少しずつ話すわね。
今日はヘアーサロン。
私が指名する美容師さんは、雑誌などのグラビアのモデルさんのヘアーを担当する人で、センスが要求される仕事をしています。
だから技術が優秀なだけでなく、会話のひとつひとつにプロの意識を感じます。
だから私は勉強させてもらっています。
私も一応はサービス業のプロだから。
もうひとり、カラーリング担当の美容師さん。
私は月2回のペースで施術してもらうんだけど、染めた色は自分でも気がつかないうちに少しずつ色は落ちているんだって。
それを見抜いて修正を加えてくれるの。それがまさにプロなのです。
そのひとは私が次にくる日までの約2週間を、明日はこうなる、明後日はこうなる、その次の日はこうなると予測してやってくれるのです。まるで将棋のプロみたい。
プロとはこういうものなんだって教えてくれるひとです。
このヘアーサロンは私の勉強部屋です。
毎月このお店に支払う勉強代は13~17万円くらいです。
あと、ネイル代があります。
ネイルのお話はきのうしましたね、その料金は1回1万5千円それが月2回
私が見た目を良くするためにつかうお金の合計、だいたい、月20万円くらいです。
他にエステサロンにもいきますから、実際にはもっとかかりますよね。
使いすぎだと思いますか。でもこれは私の仕事への投資なんです。
商品価値を高めるための。
OLの皆様、奥様方、決して参考にはしないでください。
私も引退して家庭に収まったら、普通の女になります。
だから今だけです。
ほかには、衣装代、化粧品代、タクシー代などありますがそれはまた別の日に。
お店を変わるごとに失うものもあります。
それは高級店に変わると、それまでご指名を頂いていたお客さんの一部は離れていきます。
料金がぐーんと高くなるのですからそれも当然です。
前のお店から引き続きご指名をしてくれるお客さま、ほんとうに感謝しています。
そんなお客さんのひとりに、〈たっちゃん〉がいます。たっちゃんの本当のお名前は、田上さん。田上さんは私がこの世界に入ったころ、よくグループできていた中の一人です。3人から4人で。田上さんはその中で最も若くお給料も安かったのね。
だから、いつも一緒にいた少しだけ歳上の先輩に遠慮して、あまりワイワイしなかったのね。きっと割り勘でなく先輩に出してもらってたのね。
その田上さんがある日一人で来店して「おれ新しい会社に入ったから今までの先輩との付き合いはなくなった。こんどは一人で来るけど先輩と鉢合わせしたら困るから、綾がもし店を変わったらぜひ教えて。おれ必ずいくから」
ほんとうは一人で来たかったのね。でもお金はないし先輩に隠れて遊ぶのにも抵抗があったのね。
綾ってそのころの私の名前です。
その次のお店はもう少し料金の高いお店でした。
でも、たっちゃんは約束を守って来てくれました。
そして今のお店も、無理はさせたくないけど、たっちゃんが本当に嬉しそうなので私も嬉しくて、お互いに苦労した昔の仲間にあったような気になります。
たっちゃんは「綾がだんだん綺麗になっていくのを見ておれも頑張ろうと思う」って。たっちゃんには今も私は綾なんです。
みんな頑張ってるのね。たっちゃんも、そしてあなたも。
それじゃ、今夜もお休みなさい。
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