第9話 ヌード嬢とハイヒール
この前、はなしたわよね、SHEINっていう通販サイトのお店、あそこから今日、また注文してあった品が届きました。
今日のはハイヒール、ヒールの高さが15センチあります、ハイヒールって私たちの仕事ではある意味いちばんだいじなものかも知れません。
それはお客さんの身長に合わせて選ばなくちゃならないものだからです。
ハイヒールを履くと、お客さんより女の子の方が、背が高くなってしまうってことがあります。そんなこと考えずに、スタイル重視で履いてる子もいるけど、私はできません。
だから、10㎝ 12㎝ 15㎝ と使い分けてます。
15㎝を履くと世界がちがって見えるます、ふしぎです。
でも気をつけないと危ないこともあります。
12㎝以上のヒールってかかとがピンヒールっていうんだけど鉛筆くらいの太さしかありません。これに私の体重、40…㎏が乗っかるわけでしょ。
折れそうに見えるけど、意外と折れません。そのわけは体重のほとんどをかかとじゃなくてつま先で受け止めているからなんです。
つま先立ちしてみて、そう、その感じで歩いてみて。
意外とむずかしいでしょ。
この姿勢だと、膝を真っ直ぐに伸ばしてあるくのがむずかしいです。
慣れない子が15㎝のピンヒールを履くと、ほぼ全員がへっぴり腰になります。
一歩、一歩、かくっ、かくっ、って感じ、ロボットみたいになります。
OLさんはやめておいたほうがいいと思う、格好悪く見えるだけだから。
8㎝くらいがいいと思います。余計なおせっかいかも知れないけど。
でもねキャバ嬢にはなくてはならないものなんです。その訳は外国人のヌード写真を見ればわかります。
見たことないって?うそはダメですよ。
外国人のグラビア雑誌のヌードモデルさんって、必ずハイヒールを履いてるでしょ。
ベッドの上に横たわってる全裸の姿でも、ハイヒールだけは絶対に脱ぎません。
パンティは脱いでもハイヒールは脱がない。
これ、例外は絶対にありません。
ハイヒールはパンティより大事なものなのね、きっと。
じゃあ、ハイヒールは足のパンティ? じゃあ、足の裏は何? えっ、あれっ…?やだあもう。
セクシーなドレスには、セクシーなハイヒールが必要だってことね。
私が今日15㎝をえらんだのは、片岡さんと同伴することになったからです。
片岡さんは大学のバレーボール部のコーチをしてるんだけど身長195㎝です。
でも、現役時代はこれでも身長が低いってことで、あまり試合に出れなかったんだって。
でも私には充分。ぶら下がって歩けます。
新しいハイヒールに合わせて、いちばんセクシーなドレスを選びました。
どれにしようかと悩んでいる時って幸せを感じます。
片岡さんを店の外で見送って、店内に戻った時すこし寂しくて、次のお客さんの席につくまで時間が欲しかった。
でもすぐ次のお客さんがいてくれて、むしろ良かったかも、いなければ本当に泣いていたと思う。
でも、これは疑似恋愛、 わかってるの。だからキャバ嬢なのよ。
私はキャバ嬢を演じている女優なの、どんな役でもこなすの、涙にくれる役を演じているだけよ……ほんとうだってば。
キャバ嬢の恋愛事情、いずれ話します、だから今はちょっと待ってください。
で、キャバクラの店内って案外明るいでしょ。
来店されたことがないひとの中には、キャバクラの店内は薄暗いものと思ってる人、多いみたいだけど。
健全な娯楽の店なんだから、明るいのは当然ですね。
でもほんの数分間だけあなたの席だけ、暗くなることがあるの気がついてた?
天井にあるスポットライトで調整してるんだけど
例外はあると思うけど、ほとんどの店がそうなってます。
これを知ってるとスマートに遊べると思います。
これは時間がきて延長をしてもらいたい時にすることなんです。
普通、入店一時間でセット料金って決まってます。
でも、店として延長してほしいでしょ。
だから、一時間たったらホールマネージャーがやってきます。
「お客様、延長いかがですか?」
その次にキャバ嬢がお客さんの耳元でいうの「ね、いいでしょ?」
ホールマネージャーとキャバ嬢の連係プレーなんです。
暗くなった席に、一時間経過したお客さんがいるってことです。
暗くする理由は心理学の世界だけど、暗いところは理性が弱くなるんだって、
つまり、「ね、いいでしょ?」にまけるんだって。
もし、そろそろ帰ろうと思ってたら暗くなったらすぐ、マネージャーが来る前に
「今日は一時間だけにしてね」女の子にそういっておいた方がいいと思います。
キャバ嬢の立場として、マネージャーの前で延長を断られるのは、自分が気に入られなかったと思ってしまうの、けっこうつらいです。
スマートに遊べる人って格好よくみえます。あなたが格好よくて本当によかった。
それじゃあ、今夜もおやすみなさい。
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