第64話 決勝戦・11

 ステラは両手を突き出して、それぞれの掌に特級魔法を発動させる。


 右手には覇王の破壊光線ロードブラストレーザー、そして左手には覇王の光の雨ロードレインフォール

 

 ステラの右手から、覇王の破壊光線ロードブラストレーザーが放たれた。

 光の球が七つに分離し、それぞれが光の筋を描きながら四方八方に飛ぶ。

 光の球が触れた場所には大爆発が巻き起こる。

 

 フランとぽろたんの乗った光竜ライトドラゴンはなんとかその攻撃を躱す事に成功するが、ステラとの距離はかなり離れてしまった。

 

「や……やっぱ簡単には近づけないよ……」

 必死で光竜ライトドラゴンに回避の操作イメージを伝え、弾を避けながらぽろたんはつぶやいた。

 

「わかってる……でもまだ……もう少し……」


 フランは突入のタイミングを見計らっている。


「ステラといえど、大技を出す時には少しくらい溜めがあるはず。おそらく、最初に使ったあの技……覇王の波動ロードグラヴィティ……あれを出す時を見計らって突入するよ」


「うん……それまで耐えるよ」

 ぽろたんは頷いた。

 

 続いて、ステラの左腕から覇王の光の雨ロードレインフォールが放たれる。

 光の槍が二人の上空から、雨のように降り注ぐ。

 

 ぽろたんは光竜ライトドラゴンの上方に魔法陣を形成し、光の槍を防いだ。

 光竜ライトドラゴンの魔力が削られ、ぽろたんの疲労も溜まってきた。

 一瞬、ふらつきかけるぽろたん。

 

「ぽろたん!しっかり!」

 光竜ライトドラゴンの上に乗っているぽろたんはそのまま落ちれば当然戦闘不能リタイアだ。

 ぽろたんの後ろに乗っているフランが、後ろからぽろたんを支える。

 

「ありがと……もう大丈夫だよ」

 ぽろたんは頭を振って、再び前に向き直った。

 

 

 地上では、ステラが次の攻撃の構えを見せていた。

 光の弓に光の矢を番えている。


覇王の光の矢ロードライトアロー!」

 ステラの放った光の矢が飛んでくる。

 

「ぐっ……」

 ぽろたんは光竜ライトドラゴンの上方に展開していた魔法陣を前に移動させるよう念じる。

 

 魔法陣が光竜ライトドラゴンの前に展開され、飛んで来た光の矢を防ぎ、矢は消えてなくなる。

 

「もう、光竜ライトドラゴンの魔力は残ってないよ」

 ぽろたんがそうつぶやいた時……

 

覇王の波動ロードグラヴィティ!」


 ステラが覇王の波動ロードグラヴィティの詠唱準備に入る姿が見えた。

 

「来たよっ!ぽろたん」


「うん、わかった!」


 ぽろたんは闇竜ダークドラゴンを召喚する呪文を唱える。


 フランとぽろたんの乗る光竜ライトドラゴンの姿が消え、そのまま闇竜ダークドラゴンに入れ替わった。

 

 フランは闇竜ダークドラゴンに触れている手に集中して、スキルを込める。

 闇竜ダークドラゴンにフランの加速装置ブーストが加わり、闇竜ダークドラゴンの速度が一気に増す。

 

「このままステラの元まで一気に向かって!」

 フランが叫ぶ。


「うん!闇竜ダークドラゴン、行って!」

 ぽろたんも叫んだ。

 

 闇竜ダークドラゴンは黒い光に包まれ、一気に加速する。

 

「こっちに向かってくる気ね。面白いわね、でも……何発耐えれるかな?」

 ステラは笑いながら覇王の波動ロードグラヴィティを発動させる。

 

 ヴオオオオォォォォン

 

 中心のステラから円周状に衝撃波が襲い掛かる。

 覇王の波動ロードグラヴィティ全体攻撃なので、逃げ場は無い。

 

「今よ!スキルストーン魔法の鏡バウンサーミラー!」


 ぽろたんは魔法の鏡バウンサーミラーを発動させた。

 闇竜ダークドラゴンの前に、魔法を跳ね返す効果を持つ黒い魔法陣が出現した。

 魔法の鏡バウンサーミラー闇竜ダークドラゴンの闇の力によって魔力が増幅され、より強固な魔法の鏡となる。

 

 闇竜ダークドラゴンに向かっていた覇王の波動ロードグラヴィティは、魔法の鏡バウンサーミラーによって闇竜ダークドラゴンの周囲の一部分が跳ね返された。

 跳ね返された覇王の波動ロードグラヴィティはステラの方に向かって飛んでいったが、再度発射された覇王の波動ロードグラヴィティによって掻き消される。

 

 しかし、間髪入れずに次の覇王の波動ロードグラヴィティがやってくる。

 それを再び魔法の鏡バウンサーミラーが跳ね返す。


「うわあっ!」

 目の前に迫って来る覇王の波動ロードグラヴィティに思わず目を閉じるぽろたん。


「大丈夫、特級魔法でも跳ね返せてるから、このまま一気にステラの元に行って!」

 フランは叫ぶ。


 「うん!」

 頷くぽろたん。

 

 二人を乗せた闇竜ダークドラゴンは、何度も何度も何度も何度も撃ち出される覇王の波動ロードグラヴィティを都度跳ね返しながら、一気にステラの元に向かって飛んで行った。

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