第60話 決勝戦・7

 バトルロイヤルの映像をライブ中継していたスタジアムの会場では、ざわめきが起こっていた。

 

「お、おい今の見たか?」


「なんだあれ……無茶苦茶じゃないか……」


 互いに、今見た光景が信じられないと口にする人々。

 会場では、ついさっきまでフランとぽろたん、ミオの様子が映し出されていた。

 美しい友情に会場の人たちは涙していたのだ。


 その直後、丘の麓に現れた一人の少女から放たれた衝撃波が、全てを変えてしまった。


 この時点で残っていたプレイヤーは六組で、倒されたのは四組である。


 スタジアオムのスクリーンには、決勝で戦うプレイヤー名が表示されている。


 『No.1 海兵魂コマンドー』

 『No.2 宇宙戦艦ウロボロス』

 『No.3 サバゲのアン』

 『No.4 謎の少女カティ・サイエン』


 以上、四名にはバツ印がついていて、既に敗退している事を表している。

 

 残っているプレイヤーには、


 『No.5 魔眼で魔剣の少女・クロエ』

 『No.6 暗殺者アッサム』

 『No.7 熱血格闘家ドーフィン』

 『No.8 最強エイムのスナイパー・ミオ』

 『No.9 ゆるふわメイドのステラ』

 『No.10 双子の少女・フラン&ぽろたん』


 以上、六名の名前があった。


 ……それが、今の衝撃波が発生してから一瞬で、


 『No.9 ゆるふわメイドのステラ』

 『No.10 双子の少女・フラン&ぽろたん』


 この二組だけになってしまったのだ。


「何が起こったんだよ……」


「お、俺は見たぞ……あのステラってメイド少女が放った衝撃波に、みんなやられたんだ……」


「何者なんだよあいつ……そもそも人間なのか?」


「チートすぎるだろこんなの……」


 会場の人々は、先ほどまでポップコーンとコーラ片手に和やかムードで試合を観戦していたのだが、今は戦々恐々としている。


 レンは、その様子を冷静に観察していた。

 

「まさか、フランとぽろたんの最後の相手がステラさんだなんて……最悪の展開だ……」


 レンは苦虫を噛み潰したような表情で、一人呟いた。

 

 

 一方その頃、鈴音もまた、自室のモニターでその様子を見ていた。


「小夏……まどか……あんな化け物と戦ってはだめ……逃げて……いえ、棄権して……」

 思わずそう呟いてから、いやいやと首を振る。

 

「いえ、ダメね。ちゃんと二人の事を見守るって決めたんだから、私が弱音なんて吐いてちゃダメよね……どんな結果になっても私はちゃんと見守るから……二人とも……勇気を出して……」


 鈴音は両手をぎゅっと握りしめて、祈るような気持ちでモニターを見つめていた。

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