第40話 チャットルーム
今日は、ザラートワールド内のチャットルームにギルド『コンフィズリーズ』の皆が集まっていた。
ギルドの定例会である。
元は月に一度集まろうと決めていたのだが、皆の予定が合わず、最近あまり開けていなかったのだが、久しぶりに全員集まれる日があるとなって、数ヶ月ぶりの定例会が行われていた。
定例会の場所は、大きなギルドであれば自分達専用のギルドハウスを買っている場合が多いのだが、コンフィズリーズにはその様なハウスは無かった。
蓮と澪の秘密基地を使うと言う方法も出来るのだが、秘密基地は現在、他のメンバーには公開していない。
蓮としては、今のメンバーには公開してギルドに場所を提供しても良いと思っているが、秘密基地は場所が遠い為、転送ができるレンとミオ以外のメンバーには行き辛い。
しかし、ザラートワールド内にはそんな時に使える便利な場所がある。
冒険者ギルドの受付から申請すると行ける、専用の
ここならば、他の
古都華が先にログインして、冒険者ギルドのカウンターで
「みんな、久しぶりだねー」
とコトが皆の顔を見回して言った。
「ところで、そちらの美少女さんはどなたかな?
コトは、その会議室にしれっと居る、見知らぬ若い女性に話しかけた。
「あ、この姿では初めまして……ですね。私、シュバルツです」
「え……ええー!」
古都華が甲高い声を上げて驚く。
正確には、蓮を除く全員が驚いていた。
少女の見た目はピンク色のショートヘアーと
装備は布の服を着ているだけなので、
「皆さん、先日はありがとうございました。シュバルツのアバターが
ミオはぺこっと頭を下げる。
「もしかして、ミオさんて……」
「はい、女の子です」
「きゃー、ミオちゃーん!」
コトがミオに抱きつく。
ミオは顔を赤らめて、下を向いている。
「黙っててごめんなさい……」
「良いのよそんな事。これからも女の子同士仲良くしましょうね」
「はい!お願いします」
コトは抱きついていた手を離し、ミオに席を薦める。
「さ、座って座って。皆も積もる話があるでしょう。今日はコンテンツ攻略は無しにして、ここでお話ししましょう。料理もあるわよ」
「はい」
ミオは席に着く。
レン達もそれぞれ席に着いた。
テーブルには料理と飲み物が既に用意されている。
「とりあえず、乾杯しましょう」
コトが言うと、全員がグラスを持った。
「では、コンフィズリーズの久しぶりの集まりに、かんぱーい」
バーチャルではあるが、もちろんちゃんと味がする。
メンバーは殆ど未成年なのでお酒ではなく、中身はジュースである。
「ハルさんとスズさんは久しぶりです」
レンが振ると、ハルはグラスをテーブルに置いて応えた。
「そうですね、私は仕事の方が忙しくて中々来れなかったのですが、ようやく少し余裕が出来たので、これからヴァシュランに入ろうと思っている所です。しかし、レン君やコトさんとはレベル差が開いてしまいましたね。スズさんは?」
ログイン自体が減っていたハルとスズのヴァシュランレベルは1のままである。
対して、前回の戦いでレンとコトは大幅にレベルアップしていた。
「私もレベルは無いけど、私の方はまだ仕事が忙しくて当分来れそうに無いと思いますそれと……」
スズは下を向いて少し考えた後、改めて皆の方に向き直った。
「それと今、親戚の子が上京してきて、家で預かって居るのだけど、その子達も
申し訳なさそうに言うスズ。
「スズさん、そんな事気にしないで!ここはユルい集まりなんだから、来れる時だけで良いですよー」
コトはぶんぶんと左右に手を振りながら言う。
「コトさん、ありがとう。」
「いえいえどうせライだっていつも他の用事で来ないしねー」
と言いながらライの方を睨むコト。
ライは聞こえないフリをしてそっぽを向きながら肉に齧り付いている。
「そう言えば、ミオさん、そのアバターのレベルは?」
ミオは慌ててマッシュポテトを飲み込み、水を一口飲んだ。
「ん……み……ミオで良いですよ。わたしもです。こっちのアバターはレベル全然無いんで……当分はレベル上げからかなぁ……」
「じゃ、当面はハルさんとミオのレベル上げに協力しましょうか、レン、ライそれで良いかな!」
「ええ、良いですよ」
「ああ、構わんさ」
「スズさんも来れたらいつでもレベル上げ手伝うから」
「ありがとう。親戚の子たちと仕事が落ち着いたらお願いしたいわ」
「じゃ、どうやってレベルを上げて行くかの作成会議をしないとね。まず
コンフィズリーズの定例会はテーブルの食べ物が無くなった後も暫く続き、夜が更けた頃に解散となった。
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