第38話 トロイの木馬・2
小春は水筒の蓋を開け、お茶を一口飲んだ後、再び話を続けた。
「星暦0020年の事です。外宇宙に異星人の船を確認し、
会議室に集まった科学者達は、小春の話に真剣に耳を傾けている。
『ザワークラフト事変』は、どの地球の歴史の教科書にも載っている。
誰もが知る歴史の一幕ではあるが、歴代の科学者が総力を上げて分析しても、その当時何が起きていたのかを正確に分析できてはいない。
「ザワークラフト事変は、それから起こる事態のほんの前触れに過ぎませんでした。その一年後、星暦0030年……今度は
「小春の情報はいいから……」
呆れるステラ。
「えー。ちなみに私の旧姓は苺崎ですが、私が生まれた時、通信士をしていた父は
小春は再び一息付き、お茶を飲んだ。
科学者達は、小春に注目したまま、誰も身動き一つしなかった。
皆、続きを聞きたがっている。
小春は話を続けた。
「星暦0035年、
ここまでは、教科書にも載っている歴史である。
しかし、ここから先、科学者達も知らない事実が語られる事になる。
「実際には、この時点でホランテーゼ帝国はまだ、完全に次元を渡るシステムを完成させてはいなかった。星暦0040年までは
科学者達から失念のため息が漏れた。
「翌年、星暦0046年に夫、甘王はエピスベータを完成させたわ。エピスベータは別名『エピス絶対防衛システム』と名付けられる事になったの。エピス絶対防衛システムの要は三つ。一つは、3.1次元側の存在を、ディスプレイに映し出して、確認できるようにする事。3.1次元は我々の3次元と全く同じ座標上に重なるように存在しているの。だけど次元が違うから、見る事も触れる事もできない。それを、感知できるようにしたのよ。そして二つ目は、地球艦隊の兵器を3.1次元に変換して、3.1次元を攻撃できるようにする事。そうする事で、ボードゲームの
今度は科学者達から感嘆のため息が漏れた。
「やがて
小春の話に合わせるように、ステラは仰々しくお辞儀をしてみせた。
「同年の暮れに、甘王はエピスガンマを使って
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