幕間

第36話 グラニュレイテット











——第一地球オリジンアース——


















——その衛星・月にある都市——





















——学術研究都市サッカリン——


















——その中枢にある施設——

















——月面基地ルナベース——

















 月面基地ルナベースには今、複数の地球から科学者達がやって来ていた。






 その中の一人、白衣を着た40代の女性。

 彼女の名は、福羽ふくば小春こはる


 古都華の母である。



 小春は月面基地ルナベースの長く続く無機質な白い廊下を、他の科学者達と歩いていた。



 長く続く廊下を進んだ先に、一つの扉が見えて来る。



小春は科学者達と別れて一人、扉を開けて中に入って行った。



 扉を開けた先は、会議室であった。



 会議室の中には、大きめの円卓と、その上に小型のモニターが並んでいる。



 円卓には、既に何人かが席に着いていた。



 円卓の中央には立体映像ホログラムが再生できるプロジェクターとコンピューターが置かれている。


 プロジェクターは今、ある人物の映像を円卓の上の空間に映し出していた。


 それは、姿形がそっくりな3人の若い男の子供の姿だった。



 三人は口を揃えて話しかける。

 見た目もそっくりだが、話し声も一糸乱れぬユニゾンでハモって話す。



「ようこそ福羽博士、第三地球サードアースからの長旅、お疲れ様です……疲れを癒す間もなく会議にお呼び立てしてすみません」



「構わないわ。こっちも時間を無駄にはしたくないもの。さっさと始めましょう。第847回地球連合科学者グラニュレイテット会議を。」



 立体映像ホログラムに映し出されている3人の男児の名は、それぞれアステルパーム、ネオテーム、アドバンテームと言う。



 彼らはこの月面基地ルナベースにあるコンピュータの人工A知能Iである。



「分かりました。ステラをここに」


 三人に促され、小春は席に着く。

 そして、手にしたハンドバッグから金属の棒を取り出し、円卓の側部に空いた穴に差し込んだ。



 円卓には棒がぴったり入る穴が空いている。



 棒を差し込むと、小春の目の前にあるディスプレイに若い女性の姿が映し出された。



 ステラである。



 棒は、ステラを月面基地ルナベースのコンピュータにつなげるた為の制御キーであり、それが無いといかにステラと言えど月面基地ルナベースのシステムに入る事は出来ない。

 セキュリティが施されているのからだ。



「ふわーあ、あら、三人とも、おひさー」

 ステラは気の抜けた声で挨拶する。



 三人は呆れ顔で顔を見合わせた後、揃ってクスクスと笑う。



「全く、ステラあなたって人は、相変わらずですね。本当に地球連合アースシリーズ最速のコンピューターですか?」



「失礼ね……私だって、ちゃんと仕事してるわよ。あなた達がわざわざ私を呼び出したのは……これが目的なんでしょ」



 ステラは何かを放り投げる仕草をした。

 三人の前に、バーチャルのディスプレーが現れ、そこに新たな映像が映し出される。



 それは、録画映像である。



 そこに映し出されていたのは、先日、レン達が戦ったあの仮面の敵であった。


「折角ここまで来たのだから、教えてもらいましょうか……この仮面の敵アンノウンの正体を……ね」



 ステラがそう言うと、会議室の空気が一気に緊張に包まれた。

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