第16話 冬が来た

「じゃあありがとうね。また来年も来れたら来なよ」

場長はそう言って給金をくれた。


「どうもお世話になりました」

もっとお世話になりたかったがしょうがない。


2ヶ月の季節労働者生活を終えて僕は村の中央部に戻った。もう冬も近い。


「住み込みの仕事はありませんか?」

僕は村役場に行って例の係員にそう相談した。


「冬は難しいんだよねえ」

係員は少し同情するようにそう言った。


「いっそあんたも冒険に出たらどうだい?」

係員はそう言ってくれた。


「でも別に目的らしいものもありませんし…」

僕は困ってそう言った。ない訳ではないのだが…。


「まあしばらくはゆっくりしてなよ」

そう言って係員は村の宿泊施設を教えてくれた。


人に相談するというモノは良い事であった。その宿は一泊500ゴールドだった。


「とりあえず春くらいまではなんとなるな」

というより最初の宿が非常に高級だったらしい。何も変わらないように思えるが。


「君もよかったね」

ヒヨコ魔王は相変わらずヒヨコのままだった。


「わがはいはまおうであるぞ」

どうやらこれは鳴き声であるらしい。

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