第15話 消えた後輩

後輩がやってきた。


「よろしくお願いします…」

見た目は美少女だったが随分と暗い人だった。


「何でこんなことしなきゃいけねえんだよ」

どうも中身は男であるように思えた。


仲間ではあるがどうも話をするのを躊躇われた。


「うわあキモ!」

彼女?は魔王をちぎってしまい、青い液体が手について大騒ぎしていた。


「ありゃあダメだな」

場長は呆れの中にも慣れを感じさせる顔でそう言った。


実際に彼女?は三日目の朝には居なかった。


「半分はあんな感じなんだよ」

場長は僕に説明してくれた。


「あれじゃ雇っても意味ないんじゃないですか?」

そもそも僕も含めて何で雇ってくれるんだろう?


「もう半分は真面目にやってくれるし、人手不足だしね」

場長は呆れと諦観を込めた声でそう言った。


「それに正直」

場長はやや躊躇いつつも言葉を続けた。


「あまり長く居座られても困るんだよ」

魔王は秋にしか収穫できないらしい。


「春に種をまいたらあまりやる事もないしな」

楽な仕事な分だけ雇用面が難しいらしい。


「僕らみたいな人じゃなくて、この世界の人はダメなんですか?」

僕は不思議に思ってそう訊いたが笑われてしまった。


「魔王栽培業なんて誰もやりたがらないからね」

それは農業を嫌がるという意味なのか、魔王が怖いという意味だかは判らなかった。

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