第11話 魔王の収穫

「お前さんは良く働いてくれるね」

魔王場長?はそう言ってくれた。


「ありがとうございます」

僕は素直に言ったが結構楽なのだ。


魔王は刈りやすかった。特に道具も必要なく茎からぽろりと取れる。


「力をつけて出ていくのはいいけど、せめてこの秋は居てくれよ」

場長はそんな事を言った。


「質問していいですか?」

僕は気になっていた事を尋ねた。


「はい働き者くん」

場長はお酒の勢いを手伝って気分良さそうに言った。


「こんなに魔王を収穫して大丈夫なのですか?」

この魔王をどこかに出荷しているのは判るのだが、些か多すぎでは?


「よく判らないけど全部引き取ってくれるよ」

場長はおおらかな事を言った。


「むしろもっと作れって言われてるらしいよ、農協だと」

ああ農協があるんだ。


「でも魔王ですよね?」

今はそうでもないけど育てば怖い存在なのではなかろうか?


「お前さんだって飼ってるじゃないか」

場長は笑いながらそう言った。


「わがはいはまおうであるぞ」

ヒヨコ魔王は相変わらずヒヨコ姿のままそう言った。

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