第10話 魔王刈り
「しばらくは見習いをしてもらうけどいいかい?」
その男は慣れた感じでそう言った。
「メシと寝床はあるからそれは安心してくれ」
男は、あと風呂もね。と付け足した。
「ここら辺は天然温泉が出るんだよね。熊も出るけど」
ちょっとまってすごくこわい。
「でも助かったよ。丁度人手不足でさあ」
見た目は強面だったが結構気のいい人らしい。
「…他にも僕みたいな人が居るって聞いてたんですけど…?」
不思議に思って訊いてみた。
「あんまり長居してくれないんだよねえ、しょうがないんだけど」
男は溜息をつきながらそう言った。
「何故ですか?」
僕は気になって訊いてみた。ひょっとして彼らは元の世界に戻れたのか?
「あんたらは魔王を刈ると力がつくんだろ?それで出ていっちまうんだよ」
要するにレベルアップして自信をつけて出ていくらしい。
「まあこっちもそれで助かってはいるんだけどな」
男は笑いながらそう言った。
「…ああ…」
僕は曖昧にそう相槌を打った。
「じゃあここね」
男は一面の魔王畑を指してそう言った。
そうして僕は魔王を収穫する季節労働者として働き始めたのであった。
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