第6話 村は広かった
「そうだよね、ここは村なんだよね」
ゲームの中では狭いが、現実の村は広いのである。
「これ以上行っても何もなさそうだなあ」
僕は袖で汗を拭って独りごちた。
「…地図アプリとか使えたりして?」
僕は淡い期待を込めてスマホを見たがさすがにダメだった。
「まおうからはのがれられぬ」
ヒヨコ魔王はそう言った。どうも引き返そうと言っているらしい。
「まあ戻ったほうがいいよね」
魔王の村で遭難死するという訳の分からない死に方はイヤだ。
「腹へったなあ…」
さっきヒヨコ魔王と一緒にパン食べればよかった。
「めしくれ」
ヒヨコ魔王もそう言った。消化が早いな君。
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