第5話 魔王とは

魔王の村にとって魔王とは一体何なのだろうか。


「あらこんにちは。よい魔王日和で」

近くのご婦人同士がさらりとそう挨拶を交わしていた。


かと思えばいかにも魔王のような存在が普通に歩いていた。


「魔王が生活に溶け込んでいる村、という意味かな…?」

でも魔王って一応王様だよね?


「てつがくてきなことをかんがえるじゃないか」

ヒヨコ魔王がいきなりそんな事を言った。うわびっくりした。


「あれ、君はちゃんと喋れるの?」

僕は驚いてそう訊き返した。


「わがはいはまおうであるぞ」

ヒヨコ魔王はお腹いっぱいでひっくり返ったままそう言った。


「でも君、2ゴールドで売られてたよ?」

というか2円だ。


「わがはいはまおうであるぞ」

ヒヨコ魔王は言葉を繰り返した。なんか要領を得ないな。


僕はつい気になってスマホで魔王を調べてみた。


「ひっかかり過ぎてよく判らん…」

シューベルトとかでてくるし。


「…なんでスマホ使えるの…?」

僕がその事に気がついたのは諦めて歩き出した後だった。クセって怖い。

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