第8話 話を逸らす時に直ぐに元の話に帰れるようにしましょう
「あの・・・・・・。海道さん、そろそろお話を進めさせてもらってもよろしいでしょうか?」
「えっ・・・あっ・・・はい。すいません。話を進めさせてもらっても大丈夫です」
「そうですか・・・。では、お言葉通りお話を進めさせてもらいますね」
「は・・・はい。お願いします」
何とか話を逸らすために三人とそんな話をしているとプロデューサーさんがどこか申し訳なさそうな表情をしながら俺にそう話しかけてきた。
どうやら、俺は話を逸らしすぎて話の終着点を見失っていたようだった。
俺は、慌てて三人との話を切り上げてプロデューサーさんの話に耳を傾けた。
「海道さん。貴方には、いつの日かこのAAAGプロダクションのスタジオミュージシャン件俳優の中心となっていただきたいんです」
「・・・・・・スタジオミュージシャンと俳優の中心ですか?」
「はい。そうです」
芹香先輩、美優、渚は俺とプロデューサーさんの為に直ぐに静かになってくれたと思ったら、そんなプロデューサーさんの口からとんでもない発言が飛び出してきた。
『AAAGプロダクションのスタジオミュージシャンと俳優の中心になってもらいたい』
って、プロデューサーさんとんでもない重圧をいきなり押し付けてきたな・・・。おい・・・。
俺はこう見えてもメンタルが弱いからいきなりそんな重圧を押し付けないでほしいんだが・・・。
「現在、このAAAGプロダクションではスタジオミュージシャンと俳優が不足してしまっているんですよね。今のところは、スタジオミュージシャンは手の空いているアイドル達に、俳優はアイドル達以外の人達に手伝ってもらってなんとか持っている状況なのですが・・・、その方々にも本業と言うのもありこれ以上の兼業は厳しいと言われてしまったんですよね・・・」
「そんなこともあって、今回比較的年齢が若く学生時代に一年間以上の演劇と楽器の経験があった海道さんをアイドル部専属のスタジオミュージシャン件俳優として採用させてもらったんですよね」
「・・・・・・なるほど。なんとなく大体の話は理解出来たんですが、アイドル部専属と言うのはどうゆうことなんでしょうか?」
どうやら、プロデューサーさんの話によると、このAAAGプロダクションは今現在スタジオミュージシャンと俳優が不足してしまっているらしい。
そして、そのために学生時代に一年間以上の演劇と楽器の経験があった俺が採用されたらしい。
それにしても、小早川さんからの口から出た「アイドル部専属」とはどうゆうことなんだろうか・・・。
普通、スタジオミュージシャンと言うのはアイドル達だけには着かず、他の人達にも着くはずなんだけどなぁ・・・。
「この、AAAGプロダクションには様々な部署がありまして、芹香ちゃんや美優ちゃん達見たくアイドルを希望する子達はアイドル部に所属することになっているんですよね。因みに、アイドル部の他には俳優部や女優部や演奏部など様々な部署も存在します」
「な・・・なるほど、そんなに多くあるんですね」
どうやら、「アイドル部」と言うのは芹香先輩や美優見たくアイドル達が所属する部署
そして、このAAAGプロダクションにはアイドル部の他にも俳優部や女優部など様々な部署があるらしい。
「はい。そして、少しだけ話がずれてしまいますが、このウェディングドレスプロジェクトはアイドル部に新しい風を吹かせようと言う意味合いが込められているプロジェクトでもあるんです」
「な・・・なるほど。そうなんですか・・・・・・」
「今現在、アイドル部に新しい風を吹かせようとしているのですが、その一歩目としてアイドル部を根本から支えてもらうアイドル部専属のスタジオミュージシャンを育てて行こうと言う話になったんです」
「・・・・・・アイドル部を根本から支えて行くですか」
芹香先輩、美優、渚達が参加しているウェディングドレスプロジェクトと言うものは俺が考えていたよりも壮大なプロジェクトだったようだ。
それにしても、そんな壮大なプロジェクトに演技や演奏の実力が未知数の高校生をよく採用したものだよなぁ・・・。
一応、面接は受けたちゃ受けたけど、そもそもあれが面接と言えるかは微妙だけどなぁ・・・。
「・・・・・・そもそも、何故AAAGプロダクションは俺を採用したんですか?正直言って俺よりベースが上手くってイケメンで演技ができる人だって探せば居たでしょう」
「そ・・・それは、色々と深い事情がありまして・・・」
「・・・・・・深い事情って一体何ですか?」
「ねぇ!?零ちゃんが今持ってるベースを見せて!!」
「えっ・・・あ・・・あぁ、いいけど」
「ありがとう!!って、これがベースかギターとは少し違うね」
「まぁ、ベースとギターは別の楽器だからな」
何故、AAAGプロダクションは俺を採用したのか気になり試しに小早川さんに質問をしてみると小早川さんは分かりやすいぐらい話を濁してきた。
俺は、それに対して小早川さんに強く詰め寄り本当のことを聞き出そうとしたが、突然美優が今俺が持っているベースに興味を示し俺に話しかけてきた。
「ねぇ、零ちゃん!!少しでいいからベース引いてくれない!?」
「・・・・・・まぁ、少しぐらいなら」
俺のベースに興味を示し始めた美優は、次に俺にベースを引い欲しいと頼んで来た。
俺は、ここで断るとまた面倒臭いことになりそうだと思いベースを引くことを承諾した。
そして、右手の指で弦を弾き簡単に弾いていくと、ベース独特の音色が鳴り出した。
「お・・・おぉ!!凄い!!」
「す・・・凄いですね、零時さん!!」
「・・・・・・結構やるわね」
簡単にベースを引いた後、顔を上げてみると芹香先輩、美優、渚はそれぞれ感想を口にした。
「それで、海道零時さん。この、ウェディングドレスプロジェクトを改めて受けてくれますか?」
「・・・・・・分かりました。その、ウェディングドレスプロジェクト受け・・・・・・」
改めて、プロデューサーさんは俺にウェディングドレスプロジェクトを受けるかどうか聞いてきた。
俺は、少し悩んだ末プロデューサーさんの前で答えを出そうとした時
突如
バタン!!!
と言う大きな音を立てて部屋の扉が開き、白髪が特徴的な外国人が部屋の中に入って来た。
「チョ・・・・・・チョットマッテクダサイ!!!」
突然部屋の中に入って来た謎の外国人は、意味は分からないがカタコトの日本語を大声で叫んだ。
俺とアイドルの青春な物語り くろとら @sirotora
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