第5話 久しぶりに先輩と再開する場所は結構意外な場所です

美優に引きずられながら、エレベーターに放り込まれると、美優は小早川さんが乗ったことを確認した後階数指定のボタンを押した。


「では、二十階に参りますねー!!」


「・・・そんなに高いのかよここは」


いや、二十階とか何処のタワーマンションだよ・・・。

まぁ、二十階建てのタワーマンションとかはあまり無いだろうけど・・・。


因みにだが、握っていた手だがエレベーターに放り込まれたと同時に軽く手を払わせてもらった。

仮にも美優はアイドルをやっている女の子だからな俺みたいな男と手を握っていた所を他の人達に見られたら変な勘違いをされてしまう可能性もあるしな・・・。


しばらくするとエレベーターでお馴染みの「チーン」と言う到着音が鳴り、「ドアが開きます 二十階段をです」と言うアナウンスとともにエレベーターが開くと美優が飛び出し元気良く先導し俺の事を案内してくれた。

恐らくだが、こうゆう事は本来小早川さんの仕事なんだろうけど、当の本人は俺の横で元気良く俺達のことを先導している美優の事を自分の娘を見る目で見ながらにこにこと微笑んでいた。


「はい、着きましたよ!!ここが、私達が参加しているプロジェクトの控え室みたいなところですよ!!」


「控え室みたいなところって何だよ・・・。ってか、今更何ですけど本当にここで合ってるんですか小早川さん?」


「はい、美優ちゃんの言う通りここが海道君に来て欲しかった場所で間違えありませんよ!!」


「・・・なるほど。それで、何で俺は今日ここに呼び出されたんですか?」


「・・・・・・海道君を今日ここに呼び出した理由は・・・・・・秘密です!!」


「いや、秘密って・・・」


「って!?何で私には質問をしてくれないのよぉ!!!」


小早川さんに質問をすると、何故か美優が俺にそんな事を言ってきた。

まぁ、何で美優では無く小早川さんに質問したのかと言うとそれはただ単純に美優の事が信用出来ないだけなんだよなぁ・・・。


とゆうか、ここ何かのプロダクションに所属しているアイドル達の待合室みたいなところだよなぁ・・・。なのに、何でこの部屋には一人もアイドルもマネージャーもプロデューサーも居ないんだ・・・?

普通は一人ぐらい居ても可笑しく無いと思うんだけどなぁ・・・。


「・・・・・・貴方が、海道零時君ですか?」


「う・・・うわぁぁぁ!?」


「あっ、不二プロデューサー!!」


「お疲れ様です、プロデューサー」


び・・・びっくりしたァ・・・。

びっくりしすぎて、変な声が出てしまった。


ってか誰なんだよこの人は・・・?

何か、名前を呼ばれたから瞬間的に後ろを振り返ったら俺より背が高くってガタイのいい男の人が後ろに立っていたんだけど・・・。

しかし、本当に背が高いなこの人は・・・。俺はこれでも背は175cmぐらいはあるのにこの人は見た感じ185cm以上はあるんじゃないか・・・?


とゆうか、こんな迫力がある人が自分達の後ろに立っていたのに何で美優と小早川さんは一切驚いてないんだ・・・?普通は驚くだろ・・・。


「え・・・えーと、貴方は?」


「あっ・・・これはすいません。まだ、名乗っていませんでしたね。私はこういうものです」


「えっ・・・あっ・・・これは、ご丁寧にどうも」


取り敢えず、ずっと黙っている訳にもいかなかった為、俺は男の人に名前を聞いてみた。

すると、男の人はゆっくりと口を開き胸ポケットから名刺のような物を取り出し俺に手渡してきた。


男の人が手渡してきた名刺にはこう書かれていた。


株式会社AAAGプロダクション

花嫁のウェディングドレスプロジェクト 担当プロデューサー 不二明彦


「花嫁のウェディングドレスプロジェクト・・・?何か、随分と長い名前ですね・・・」


「・・・結構いい名前なんですが、名前が長すぎて中々覚えて貰えないのが欠点ですね」


「は・・・はっははは、そ・・・そうですね」


「花嫁のウェディングドレスプロジェクト」か・・・。

何か、この前の朝のニュースで聞いたような気がするな・・・。

まぁ、それからその名前を聞いた事は無かったからどんな内容のプロジェクトかは知らないんだけどなぁ・・・。


そんな事を考えていると突如「ガチャ」と言う音とともに扉が開いた。


「不二プロデューサーい・・・・・・る・・・・・・?」


「えっ・・・せ・・・先輩?」


扉を開け、部屋の中に入って来たのは誰もが見蕩れるだろう絶世の美少女だった。


そんな、美少女は恐らく俺より年上で歳は十九歳から二十歳ぐらいだろう。特徴は艶のある長い黒髪に目の下にある泣きぼくろ。

そして、この落ち着いた雰囲気を漂わせ、「COOL」と言う言葉が似合うこの美少女の事を俺は知っている。


そう、この人は中学時代に所属していた演劇部の先輩で毎日のようにお世話になった一番仲の良い先輩の渋谷芹香さんだ。


「何で、零時がここに居るのかしら?」


「えっ・・・いや・・・、それは俺が聞きたいんだけど」


「そんなのどうでもいいから、ちゃんと私に説明して!!」


「い・・・いや、だから・・・」


「い・い・か・ら説明しなさい!!」


「わ・・・分かりました」


眉間をピクピクしながら、思考が停止している先輩はしばらくして思考回路を復活させ氷の女王のような表情をしながら俺に説明を求めてきた。

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