第3話 問い詰める時はとことん問い詰めましょう

「い・・・いや、今回は本当に悪かったて・・・。だから、二発目は勘弁してくれって・・・」


「・・・・・・ふん。次は無いからな」


「あ・・・あぁ、分かったよ・・・」


なんやかんやあって、スタジオ・ミュージシャンのオーディションに合格した俺は取り敢えず一階のロビーに戻り受付けのお姉さんと何やら楽しそうに話している齋藤を受付けのお姉さんから引き剥がしその場で重い一撃を腹に打ち込んでやった。

斎藤は「グエッ!!!」と言うカエルみたいな短い悲鳴を上げその場に膝を着き腹を抑えていた。

そんな、一連の光景を見ていた受付けのお姉さんは状況の把握が追いついていないのか唖然としていた。


取り敢えず、受付けのお姉さんへの事情を説明するのは後回しにして、未だに腹を抑えて這いつくばっている斎藤に本当の事を話すように言うと斎藤は腹を抑えながらヨロヨロと立ち上がりペラペラと本当の事を話し始めた。

そしてどうやら、今回の事は斎藤と斎藤のおじいちゃんが考えた計画だったらしい。


まぁ、大方俺の予想通りだったんだけどな・・・。


それから、更に詳しく齋藤から話しを聞いてみると最近やっとAAAGプロダクションのアイドル達の人気に火が着き長年傾いていた経営もうなぎ登りになったこのタイミングで新しいスタジオ・ミュージシャンと俳優を募集する事になったのだが、給料的な問題で新しく雇える人数が一人だった為楽器が弾けて演技もできる人材を求めることになりその結果白羽の矢がたったのがベースが弾けて中学時代に演劇部に所属していた俺ということだったらしい。


しかし、俺は基本的に面倒臭い事に関わりたくない性格だった為、そんな話しを俺にしても断られるのが目に見えていたらしく「交通費ぐらい出してやるから、記念に受けてみようぜ」などと甘い言葉で俺を誘い出し断れない状況まで持って行こうという事だったらしい。


うんー。完全にアレだな・・・。もう、ここまで行くと詐欺の手口に近いな・・・うん。


まぁ、そんな手口に引っかかってしまった俺も悪いし・・・。今は早く家に帰るか・・・。これからの事はその時に考えよう・・・うん。


俺は、未だに唖然としている受付けのお姉さんに軽く事情を説明した後簡単な謝罪をし齋藤と共にAAAGプロダクションを後にした。

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