第9話
お嬢様に眠ってもらった後日、私はお世話になった使用人の方々に分かれの挨拶をするため屋敷に訪れた。
一先ず先に御当主様との用事を済ませるため御当主様の部屋に来た。昨日のお嬢様の事について何か知らないか聞くために。
「ふむ…そんな事が。君の精神汚染はもう大丈夫なのかい?」
「自己診断ですが問題ありません。まだ不完全な魔眼なのでしょう、私が見た限りはそこまで強力では無いようですが長期にわたれば累積するのかと。ただお嬢様自身で制御出来ているようなので悪用しないようなら良いのではないかと」
「兎も角だ、留意しよう。幸い君以外にはその執着を出してはいない。精神干渉系への対抗魔法を考えておかなければならな」
「それは私が何とかします」
「そうか、ならば任せよう。まぁ何はともあれ今回の件本当にありがとう。ご苦労だった」
「こんなに強力なM.A.Eも頂きましたしこちらとしては貰いすぎなくらいです」
「そうか、魔法学校は明後日が入学式だったはずだ、私が急に学校を変えたとはいえ。ちゃんと行くようにな?」
「大丈夫ですよ」
「そう言えば、引っ越しもしたんだろう?」
「えぇ、今回の報酬と私の貯蓄で一括払いした新居です。一応前々から購入予定はあり少々ハードルが高かったのですが今回の報酬で買えました」
「マンションで部屋を取ってたと聞いたが駄目だったのかい?」
「私は自分でM.A.Eの整備や調整等もしますからね。接続を使えば一応不要ですが。ある方が楽ですし色々自由に出来るので購入しました。両親もかなりの金額を出してくれましたので一人ではもったいないくらいの大きさの家ですが」
今回の報酬はかなりの金額だったけれど父からは好きにして良いと言われていたので今までの貯蓄等も合わせてそれなりに大きな一軒家を購入しました。高校生の私名義ではなく一応父の名義ですが基本的に私が好きにできます。両親が仕事や旅行で東京に来ることも無くは無いでしょうし私も今後は東京で過ごすつもりだったのもあり新築のかなり大きな家を買いました。
「まぁ、学校で出来た友人なんかとシェアハウスと言う手も無くは無いだろうが…まぁ、ここの魔法学校は寮があるからそっち使うのが普通か」
「そうでしょうね」
「そう言えば。魔法学校にはちょっとした噂があったな。ほんの極一部と聞いたが」
「噂ですか?」
「まぁ、簡単な話だよ。上級生と下級生で兄弟姉妹の様にするんだそうだ。しかも卒業後も」
「あぁ、一部の学校ではあるやつですか。確かに珍しくはありますが…」
「まぁ、問題は貴族文化がある日本で、しかもほぼ確実に貴族が通う学校でだそれがあるってことだ。名門貴族の義兄弟姉妹になれば将来役に立つだろう?基本的に上級生からの申し出は断れないらしい」
「ですが私は表向きは落ちこぼれも良いところですよ?」
「まぁ、虎の威を借る狐程度なら君の事はバレまいよ。問題はそれ以外だ、私でもこの一週間で君の事は大体わかったからね。ミス・ディメンション」
そう言われ私は無意識に顔をしかめる。
「身内の関係者くらい調べる。どうせ想定はしていたんだろう?」
「…えぇ、こうあっさりバレるとは思いませんでしたが」
「君はここ数日空間転移を多用しただろう?それでわかった。ドイツには有名な血統魔法を使う貴族がある。いや、あったと言う方が正しいか…つい最近魔法を使える物を全員失ったシュヴェリーン伯爵家その者達の中でも敵性がある者のみが使える血統魔法『ディメンショナリー』燃費の悪さもさることながら使用者の脳死の多さで有名なあの家だ。だが一人だけ行方不明者が居る、表向きには存在しないがね……あぁ待った待った!そんな底冷えしそうな表情で睨まないでくれ、勿論他言はしないさ。それどころか君の事は私が隠しておいた」
「成程…言いたいことは分かりました。誠意努力しましょう」
要するにこう言いたいのでしょう「黙ってるし隠してあげるから私達の傘下に入ってね」という事だろう。
「もう既に私は分家とは言え鳳凰院家の身内ですから」
「まぁ私としてはドイツに帰らないでくれるだけでも御の字さ」
「私の両親は今北海道で呑気に隠居してる二人だけです」
「それならいい。君みたいな無能の皮を被った優秀な人材は一回バレてしまえばそれこそ姉妹コースだ。極力逃げることをお勧めするバレなきゃ転移でもいいんじゃないか?入学そうそう逃亡劇になる事は流石にないだろうから入学して暫くは無能の皮をしっかり被っていると良い」
「面倒ごとは御免ですからそうします。てっきり高位貴族と姉妹になってこいとでも言われるのかと」
「それで君がただの転移装置化しても良いなら好きにするといい」
「それは嫌ですね」
私もただの機械部品と化すのは嫌ですし人体実験のモルモットになるのも嫌です。
法律?人道的配慮?ナニソレオイシイノ?を実際にしても不思議ではありませんし今では魔導士を生み出すのにデザインチャイルドは当たり前になりつつある。
「一先ずはこんな所か。だが友人は作りたまえ、君は孤独を好むような質では無いだろう?仲間は多い方がいいからな」
「善処します」
自宅の最新のM.A.E設備に慣れるのを目的に幾つかの種類のM.A.Eの調整を行う、暇潰しも兼ねていますが少々仕事も溜まってきたからです。
私は父の知り合いから基礎的なM.A.Eの調整技術を教えてもらったのですが、その際の縁というかたまにM.A.Eの調整依頼や新型M.A.Eの試作品を貰うことがあります。
基本的にその依頼の報酬や試作品等の評価をする事で私はお小遣いを得ている。とは言え最近は鳳凰院家で住み込みだったのでそれなりに溜まっていた。別段急かされていた訳では無いけれど、遅くなるのは悪かったので今日はそちらを優先した。
月に何件か、或いは全くない時もあり、正直たまにあるボーナスくらいの気持ちでやっています。極々稀に軍事用の最新型の調整だったりOSソフト作成等も来ますが本当に極々稀です。まぁ、軍事用は依頼と言うよりは「ちょっとやってみ」くらいのもので少々尖ったものが多く配備されているところは見たことがありません。
そう言う訳もあり私は結構な数のM.A.Eをもっており中でも武器と一体になったタイプのを好んで使っています。普通の武器と近い感覚で扱えるのでそう言う点でも好んでいます、ただ殆ど試作品であり選定段階で落とされているためこれを使っているのも調整できるのも私だけですが。
なおかつ私は北海道の片田舎に箱入り娘同然の環境で生活していました。危険な人どころか人が居ないとすら言えます。そもそも戦闘力や技術の腕も基準が分かりません、たまにメールと一緒にM.A.Eの調整をお願いされるだけ。
「折角設備が整ったのですし完全に0からM.A.Eを作りましょう!」
幸い材料はありますし設計からしますか、部活に入る気もありませんし時間ならあるでしょう。幸い依頼分はもう終わりましたし暫く依頼止めましょうか。メールで暫く依頼停止の旨を伝えて置けばいいでしょう。
「暇つぶしには良いかもしれません」
早速私はアクケルテの形状をベースにしたM.A.Eの設計を始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます