第7話

 今日は皐月お嬢様と異母兄弟が戦う日ですが…私は行くことはできません。私が行ってしまえばお嬢様は私に頼ってしまうでしょう。

 まぁ…お嬢様がちゃんと行くときと同じ覚悟完了状態で戦えば下手すればその辺が更地になってしまうので圧縮空気弾程度で勘弁してあげて欲しいのですが。

 

かくいう私は今日は完全にオフなのでそれなりにおしゃれしてスタバでコーヒーフロートを飲む機械になる。日がな一日をスタバでスマホを片手に過ごす、魔法工学関係の情報を眺めながら過ごしていると青年の二人組が寄ってきた。

またかと思いながら私にナンパを仕掛けてくる二人組の対応をする。


「おねーさん綺麗だね!何飲んでるの?」


「俺ら奢るよ?」


 こう言うのが寄ってくるのを考えれば自分の容姿の美醜を喜んで良いのか悪いのか…


「Geh weg(どっかいけ)」


 そう顔も見ずに言うと二人とも困った顔をして店を出て行きました。

 こういう時はドイツ語使えてよかったと思う。ドイツ語喋れないとまず追い払える、私自身一応身辺調査の結果ドイツ人というのは確定らしいですし私も普通にドイツ人らしい顔立ちです。


 コーヒーフロートの空き容器をゴミ箱に捨ててトレイを返却しスタバを出る。ナンパにはうんざりしたので帰ることに。



 帰宅途中さっき私をナンパしていた二人組に迫られている私と同年代くらいの女子二人があまり人通りのすくない通りで良い寄られていました。

 最初は無視しようかと思ったのですが私が追い払った被害者と考えればまぁ、手助けくらいはしようかと思い。シルバーキーを取り出し魔法を発動する


 彼女たちだけ建物裏の路地まで転移さる。これなら私という事も分からないでしょうし私の気も済む。


「…帰ろ」



 まだ日は高く時計を見るも12時を少し過ぎたくらい。

 昼食をどうしたものかとスマホで近くのファミレスを探していると真横にリムジンが止まる。

 何事かと思えば御当主様と御子息二人とお嬢様でした。


「白亜!貴女私の事を無視して一人で遊んでたの!?」


 窓を空けて開口一番飛んできた言葉がそれでした。

 中の様子を見たところちゃんと手加減はしていた様で死んではいないものの眼が死んでる御子息と思われる方が二人。


「私とて行きたくはありましたが、お嬢様が私無しでお二人を打ちのめさなければいけないでしょう?自信になりませんから」


「それは…」


「まぁまぁ、皐月。白亜君も考えがあったんだから良いじゃないか。あぁ、そうだ。どうかなこの後昼食でも一緒に」


 御当主様が助け船を出してくださった。だが一応使用人である私が一緒にとはいかないでしょう。


「ありがたい申し出ですが。私は一応仮にも使用人です、一緒にとは行きません」


「やれやれ、硬いな。構わんさ、どちらにしろ君には恩があるんだ気にしなくていい」


「……はぁ、分かりました。ご一緒させていただきます」


 リムジンに乗り込み開いてる席に座る、とは言っても最初は運転手の隣に座ろうとしたのですが「白亜は私の隣!」と言われてしまい。

 座って早々私の腕に抱きついて離れないお嬢様。


「本当によく懐かれたね。そのまま家で働く?」


「まだ私はギリギリ中学生です。それに普通の公立校とは言え高校生活も始まるので」


 そう言うと御当主様含め全員が怪訝な顔をする


「待った、君は皐月と訓練とはいえ魔法戦をやっていたんだろう?君の魔法がいくら秘密とは言え一般魔導士程度は扱えると使用人達から聞いている。その君が魔法学校に行かないのかい!?」


「はい、ですが私が使える魔法は血統魔法等を除けば精々加速魔法か硬化魔法後は少々の攻撃用の魔法です。私の血統魔法はM.A.Eを経由しません。こんな魔導士が試験に受けに行けば「何しに来たんだ?」と思われても仕方ありません」


 この国にある大日本帝国国立魔法学校は高校と大学一貫校で全国に支部がありますが試験内容はかなり厳しい物があります。魔法を使える者なら一応全員入学は可能ですが…無名の血統魔導士は立場が色々面倒ですからね。


「魔法学校を出て魔導士としては灰色の人生を送るくらいなら普通の一般人としてそれなりな道を選ぶつもりで一般の高校を選びました」


「だがそれで悔しくは無いのかい!?今日皐月の魔法戦闘を見た。正直そこんじょそこらの魔導士を圧倒できる魔法技術だった。それでも君には勝てなかったと言う。それだけの魔法戦闘能力と技術を持って悔しくは無いのかい!?」


 御当主様が興奮して私の肩を揺らす。言い分は分かる、だけれど。


「私にはそう言った物が分かりません、私にはどうも一部の感情を失っているようですからね。御当主様、着いたようですよ。降りましょう」


「あ、あぁ」


 全員が降りお嬢様の横に付いて歩く。


「白亜は、魔法学校には行きたい?」


お嬢様が呟くように聞いて来た。


「そうですね、叶うのなら行きたいです。お嬢様は行くのでしょう?私の分も頑張ってください」

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