五 昼間の酌

現代詩お嬢様は 缶チューハイお嬢様

コンビニで ストロングゼロと

ポテトチップス 買ってきて

お晩酌のお相手なさい と仰るので

私は一ノ蔵をお持ちして お部屋を訪ねた

一升瓶と 刺身を目の当たりにして

お嬢様は ニヤリと笑う

その口元 やにさがった眉や目元

私はあふれる慕情を堪えて

お嬢様のお酌を始める


昼の酒は時間が高額で換金され

贅沢の極み 怠惰の最果て

グラスの一ノ蔵を眺めながら

お嬢様は首を傾げて

お父さまと お母さまと ご一緒でしたら

また違ったお味だったのでしょうかね と

ひと息に飲み干して 刺身に舌鼓を打つ


相変わらず 赤らめもせず 酒が強い

幾度も差し出される お嬢様のグラスに

注がれる大吟醸 憂き世が霞む酒精

私はストロングゼロを手酌して

ポテトチップスを頬張りながら

お嬢様の夢心地の横顔を目の当たりに

茹で上がったようになっている

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