第5話 友人の犠牲



 町での生活に慣れた。オルタとキャロンには歌姫と呼ばれる友人が出来たらしい。

 私にとってもそれは喜ばしい出来事だった。


 彼女の歌声は、戦う為の音楽しか知らない私の耳にもとても心地よく聞こえたからだ。


 しかし、世界はそんなささやかな幸福を無残な形で引き裂いた。


 世界の安寧のためには、歌姫の力が必要だった。

 一人を選ぶか、世界中の人を選ぶか。

 そんなの、最初から決まりきった選択だった。


 友人を犠牲にして世界の安寧を勝ち得た戦いの後、オルタとキャロンはひどく落ち込んでいた。


 私は何とかして彼等に出来る事はないかと探したが、こういう時にかける言葉というものを知らない。


 けれど、まだこの時点では幸せな方だったのかもしれない。


 歌姫を救い出すためにフィー達が動いて、オルタやキャロンと敵対する事になってしまった。


 オルタ達はまたもやかけがえのない友人を、自分達の手で討つ事になったからだ。


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